新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がピンチに陥った。状況を好転させるために、経営者も現場も懸命にもがく。「ピンチをチャンスに」と合言葉のようにいわれるが、簡単ではない。状況を変えるために何が必要なのか。新しい連載ではその条件を探る。第1回目は新浪剛史サントリーホールディングス(HD)社長に、ピンチをチャンスに変えられるリーダーの3つの条件について語ってもらった。

 新浪氏は業績不振にあえいでいたローソンの社長CEO(最高経営責任者)に2002年に就任すると、辣腕を振るい経営を立て直した。14年にはサントリーHDの創業家出身者以外で初の社長へ転身。約1兆6500億円の巨費を投じて買収した蒸留酒大手、米ビーム(現ビームサントリー)との困難な統合作業を実らせた。数々の危機を乗り越えてきた新浪氏だが、出口が見えないコロナ禍はビジネスパーソン人生の中で「最大のピンチ」と言い切る。それでも持ち前の眼光の鋭さを失わないのは、幾度も危機を好機に変換してきた経験があるからだ。

新浪 剛史(にいなみ・たけし)
1959年、神奈川県生まれ。81年に三菱商事に入社。91年、ハーバード大学経営大学院を修了し、MBA(経営学修士)を取得。2001年三菱商事コンシューマー事業本部ローソン事業ユニットマネージャー、02年ローソン社長CEO(最高経営責任者)。14年5月に会長に退き、10月にサントリーHDの創業家出身者以外で初となる5代目社長に就任。18年5月から日本経済団体連合会審議員会副議長、20年6月から経済同友会副代表幹事を務める(写真:北山 宏一)

 新浪氏の経験から分かる、危機を好機に変えられるリーダーの条件は次の3つだ。

1.やり遂げる覚悟を示す
2.ヒントをもらえるネットワークを持つ
3.前向きな長期目線を持つ

1:やり遂げる覚悟を示す

新浪氏の20年近くにわたる経営者人生は困難の連続だ。旧ダイエーの因習も引きずり業績不振に苦しんでいたローソンを、11期連続営業増益の成長企業へと立て直した。三菱商事から43歳で社長CEOに就任した新浪氏が、経営改革の1丁目1番地として取り組んだのが、コンビニエンスストアにとっての看板商品である、おにぎりの刷新だった。陣頭指揮を執り、02年11月に立ち上げたオリジナルブランド「おにぎり屋」は大ヒット。危機を脱し、成長軌道に乗るためのエンジンになった。

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