「前払いした授業料を返金してくれという電話が相次いでいる。もちろん今は全て断っているが、これから先どうすればいいのかは全く分からない」。上海市にある学習塾の経営者は、うなだれながらこう語った。

 中国の教育業界が今、パニック状態に陥っている。「非営利組織に転換せよ」。政府の意見文書1つで、昨日まで普通にビジネスを営んでいた産業が突然存続の危機に立たされるという「チャイナリスク」が顕在化したからだ。

 7月24日、中国共産党中央弁公庁と国務院(政府)弁公庁は「義務教育段階の児童の課題負担と課外教育負担減少に向けた意見」を発表した。その内容は、「懲罰的」と言っていいほど教育産業にとって厳しいものだ。

激しい競争を勝ち抜くため、中国の子供たちは幼いころから猛勉強を強いられる(写真:新華社/アフロ)
激しい競争を勝ち抜くため、中国の子供たちは幼いころから猛勉強を強いられる(写真:新華社/アフロ)

 「学科類」と呼ばれる語学や数学などの校外補習を行う学習塾について、既存企業は非営利組織に転換させて登録を義務付ける。新規開業は認可しない。上場も外国資本による買収も禁じる。学校から高い給与を提示して教師を引き抜くことは禁止される。広告を出すことも、海外にいる外国人を雇ってオンライン授業をすることもできなくなる。学科類以外の教育企業についても、定期的に厳しい審査を行うとしている。まずは北京、上海、瀋陽、広州、成都、鄭州、長治、威海、南通の9都市がパイロット地域として指定された。

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この記事はシリーズ「広岡延隆の「中国ニューノーマル最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。