フィットネスアプリのKeep、音声配信プラットフォームの喜馬拉雅(シマラヤ)、医療ビッグデータの零氪科技──。今、中国のユニコーン企業たちが相次いで米国の株式市場への上場を棚上げし、香港市場上場の検討を進めている。

 きっかけは中国最大の配車サービス運営企業、滴滴出行(ディディ)の米ニューヨーク証券取引所への上場が、中国共産党の逆鱗(げきりん)に触れたことだ。最近米国上場を果たした企業や近く上場を計画していた企業への締め付けが一気に増した。いったい中国で何が起きているのか。

政府の意向を押し切って米国上場を果たした滴滴出行(写真:ロイター/アフロ)
政府の意向を押し切って米国上場を果たした滴滴出行(写真:ロイター/アフロ)

時価総額7兆円超えも暗転

 6月30日の上場日。ディディの終値ベースの時価総額は約670億ドル(約7兆3700億円)に達した。調達額は44億ドルで、中国企業による米単独IPO時の調達額としてはアリババ集団の250億ドルに次ぐ規模。だが、これだけの大型上場にも関わらず、派手なお祝いはなく鐘も鳴らされなかった。中国メディアは「従業員さえも上場できたのかどうか分かっていなかったほどだ」と伝えている。6月11日に目論見書を公開してから、わずか20日ほどのスピード上場だった。

 実は、ディディは最近、中国当局から再三指導を受けていた。今年3月、当局は滴滴の責任者を呼び出してサービス料金変更がドライバーの権利を侵害した可能性があると指導した。4月、当局は国内30社以上のインターネット企業を呼んで独占禁止法に抵触していないかを自己検査するよう要求した。ディディもこの中に含まれていた。

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この記事はシリーズ「広岡延隆の「中国ニューノーマル最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。