6月24日、香港の新聞スタンドの前には、雨天にもかかわらず早朝から長蛇の列ができていた。中国共産党への批判的な姿勢で知られる香港の大手紙、蘋果日報(アップル・デイリー)の最後の朝刊を求める香港市民が殺到したためだ。蘋果日報は通常の10倍以上に当たる100万部を発行したが、各所で売り切れが相次いだと現地メディアは報じている。

新聞スタンドで最後の蘋果日報(アップル・デイリー)を買い求める香港市民(AP/アフロ)
新聞スタンドで最後の蘋果日報(アップル・デイリー)を買い求める香港市民(AP/アフロ)

 香港当局によって、蘋果日報創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏を含む幹部が軒並み逮捕された。香港国家安全維持法(国安法)に基づき、裁判所の許可を得ることなく当局により1800万香港ドル(約2億5000万円)の会社資産が凍結された。

 蘋果日報を傘下に持つメディアグループ壱伝媒(ネクスト・デジタル)は「香港の現在の状況により」事業継続の可能性が断たれたと判断。同紙は26年の歴史に幕を閉じ、ウェブサイトもつながらなくなった。

 「国安法の施行1周年が近づいており、香港政府はそれを真剣に執行しなければならない」。香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は記者会見でこう述べた。香港立法会を迂回して中国の全国人民代表大会が直接制定するという異例の形で成立した国家安全法が施行されたのは2020年6月30日の深夜のこと。それからわずか1年で、自由と民主主義をベースにした社会が急速に崩壊していく現実を、我々は目の当たりにしている。

共産党創立100周年を前に沸く上海

 すべては7月1日という重要な日程を意識しながら進んでいる。

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この記事はシリーズ「広岡延隆の「中国ニューノーマル最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。