中国で防疫対策の要となっている新型コロナ対策アプリ「健康コード」が、地方政府によって目的外に乱用されていたことがわかり国民からの批判が高まっている。金融詐欺事件や購入したマンションが完成しないといった被害者たちが、自宅隔離など厳しい行動制限を受けた。当局への抗議を封じることを目的にしたとみられる。

健康コードは個人の移動履歴などをビッグデータと付き合わせて、感染リスクをスマートフォン画面上で「緑」「黄」「赤」の3段階で表示するもの。個人情報の塊であり強制隔離などの人権制限に直結するため、中国政府は「健康コードはあくまで防疫対策のみに利用する」と強調していた。ところが、ここにきて政府にとって都合が悪い行動を行う市民に対して、防疫対策とは無関係に赤色のコードを表示させていたケースが明るみに出た。
問題が露見したきっかけは今年4月上旬、河南省にある複数の「村鎮銀行」と呼ばれる地方金融機関の預金が引き出せない状態になったことだ。百度(バイドゥ)系などインターネット上の金融プラットフォームを使い、一般的な預金を大きく上回る金利でお金をかき集めていた。4行の主要株主である河南新財富集団投資控股が銀行幹部と結託した詐欺ではないかと疑われており、当局が調査を始めている。
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