ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」の男性用シャツの米国への輸出が1月、米税関によって差し止められた。米税関が公表した5月10日付文書は「新疆生産建設兵団が関わった綿を使った可能性が排除できない」としている。対象となったのは「中国以外で生産された綿を中国の工場で縫製した一部の綿製シャツ製品」(ファストリ)だ。
ファストリは米税関に対して異議を申し立てたが却下された。同社は「原材料の原産地証明書類や、製品の紡績から縫製に至る生産工程の情報などを提示し、サプライチェーンにおいて強制労働の事実はなく、製品の輸入に問題がないことを説明した」「米税関は原材料の原産地に関する書類については認めており、また、同じ生産工程で製造された製品の輸入が認められた例もあるが、本件については説明が認められなかった」としている。中国外務省の趙立堅副報道局長は会見で「米国のいじめ」と述べ、「関連企業は団結して、米国のこうした不合理な行為に反対すべきだ」などとファストリを援護射撃した。
同社は2017年に主要取引先の縫製工場リストを公開した。20年8月には、ユニクロ製品の生産委託先にも素材工場や紡績工場にも新疆ウイグル自治区に立地するものはないと発表している。サプライチェーンに関する情報公開においては先進企業とみられていただけに、衝撃は大きい。
新疆生産建設兵団が持つ3つの顔
米国が綿製品の輸入差し止め対象としている新疆生産建設兵団とは、一体どのような組織か。
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この記事はシリーズ「広岡延隆の「中国ニューノーマル最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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