「どこに行っても何も売っていない。言われた通りに食材を買っておけばよかったよ」

 4月24日の夕方、記者のスマホに中国・北京市に住む友人からこんなメッセージが飛び込んできた。「上海は突然ロックダウン(都市封鎖)が発表されて大混乱になった。念のため日持ちのするモノだけは備蓄しておいた方がいい」。北京市で感染者が増えているというニュースを見て、数日前にこうメッセージを送ったばかりだった。

 「差し迫った厳しい状況にある」。北京市当局は4月24日、新型コロナウイルス感染者の発見が相次いでいた朝陽区で、25日から29日まで3回にわたって全区民を対象としたPCR検査を実施すると発表した。日本大使館があり日系企業も多く入居する、首都北京でも有数のビジネスの中心地だ。区内で特にリスクが高いとみなしたエリアについては必要時を除いて外出を制限し、飲食店などを営業停止とする事実上の封鎖措置がとられた。上海のような全面ロックダウンに発展するリスクが高まっていると恐れた住民たちは、一斉に買いだめに走った。

 25日夜には、大規模検査の対象地域を北京市内の大部分へと拡大することが明らかにされた。27日の発表によれば、22日以降に北京市内で確認した症状のある感染者数は138人。幼稚園や学校で感染が拡大しているという。

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この記事はシリーズ「広岡延隆の「中国ニューノーマル最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。