「食料をくれ! 飢え死にする!」。上海市内のマンションで住民たちの怒声が響いた。中国最大の経済都市におけるロックダウン(都市封鎖)が、先の見えない泥沼にはまっている。

 上海市はもともと3月28日から東西に分けて段階的にロックダウンを実施し4月5日に終了する計画だった。だが、全住民の検査を繰り返すたびに新型コロナウイルスの新規感染者数は過去最多を更新。5日になって改めてロックダウン延長を発表し、6日も全住民を対象とした検査を実施した。当局は結果を分析して今後の対応を決めるまでは外出制限を継続するとしており、期限は定めていない。

 上海市は現在、感染者の隔離を目的とした「野戦病院」を急ピッチで設置している。すでに全国各地や人民解放軍から4万人近い医療従事者が応援に駆けつけたが、人的な面も含めたオペレーションが追いついていない。複数人の赤ちゃんが1台のベッドに寝かされている動画なども拡散されており、批判が殺到している。濃厚接触者も隔離対象となっており、上海で収容しきれなくなった人は江蘇省など隣接地域へ移送され始めた。

PCR検査に並ぶ上海市民(新華社/アフロ)
PCR検査に並ぶ上海市民(新華社/アフロ)

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この記事はシリーズ「広岡延隆の「中国ニューノーマル最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。