あまりにも早いブームの終焉(しゅうえん)だった。ちょうど一週間前の2月2日「『Clubhouse』VS政府検閲、中国で使えるのか」という記事で中国当局に規制されるのは「時間の問題」と記したばかりだ。少しでも今の中国を知るほとんどの人はこの日が来ると予想していたものの、それにしても中国当局の動きは早かった。

中国本土で米国製の音声SNS「Clubhouse」が利用できなくなったという報告が相次いだのは、2月8日夜のことだ。米国発で日本でも爆発的にユーザーを増やしている同アプリの人気が中国国内でも高まり始めている直後である。上海市からアクセスできなくなったことが確認され、中国版ツイッターと呼ばれる「微博(ウェイボ)」でも各地のユーザーから利用できなくなったとの書き込みが相次いだ。
中国政府が言論統制を目的として稼働しているネット監視システム「金盾工程」の対象となり、ネット接続が遮断された可能性が高い。こうした書き方しかできないのは、どのアプリへのアクセスを遮断しているかを中国当局が明らかにすることは基本的にないからだ。金盾は万里の長城(ザ・グレート・ウォール・オブ・チャイナ)になぞらえて「グレート・ファイア・ウオール(GFW)」などとも呼ばれ、中国国内からは「YouTube」や「Facebook」「Twitter」「Google」「Dropbox」「LINE」などが利用不能になっている。この対象リストに今回Clubhouseも加わったことになる。
中国国内でも、金盾によるブロックではないかと指摘する複数の記事がネット上に掲載された。だが、いずれもすぐに削除され閲覧できなくなった。
Clubhouseを巡っては、新疆ウイグル自治区やチベット自治区の人権問題などを話すroom(部屋)が複数立ち上げられていた。言論の自由を前提とするアプリだけに、国外からの批判を嫌う中国政府が本土における利用規制に乗り出すのは当然のことだったと言える。
接続できなくなった直後から、Clubhouse内にはそのことを議論する普通語(中国の標準語)の部屋が複数できたという。「約5000人の定員を超えて入れなくなっていた部屋もあった」との証言もある。もちろん台湾や香港から参加していた人もいるだろうが、相当数のユーザーがVPN(仮想私設網)を利用するなどして中国本土からアクセスしていたと考えるのが自然だろう。
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この記事はシリーズ「広岡延隆の「中国ニューノーマル最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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