主要国において経済的に一人勝ちの状況にある中国。だが、米中対立、一人っ子政策による人口動態のゆがみなど本質的な問題を抱えている。高度成長の中で覆い隠されてきた構造問題を、強権主義で乗り越えることができるのか。中国の「死角」を分析した。

死角1:終わらぬ米中対立

 2020年11月、中国華為技術(ファーウェイ)は、ついに低価格スマホ事業の売却に追い込まれた。米国政府が実質的な禁輸対象とする「エンティティー・リスト」に掲載され、その後も締め付けられたことでスマホ生産に不可欠な半導体を調達できなくなった。

 多くの中国メディアが、売却先は販売店の企業連合だと報じた。だが、資本関係をきちんと確認すると、意外な事実が浮かび上がってきた。

 売却された事業会社の株式は深圳市政府系投資会社が98.6%を保有しており、販売店連合は1.4%にすぎないのだ。すなわち、実際には中国政府による救済措置だったといえる。ファーウェイは従業員が100%の株式を持つ民間企業だが、米トランプ政権は中国政府と一体化していると疑い、警戒感を高めていた。ファーウェイの低価格スマホ事業が米国の圧力を逃れるために政府の傘下に入ったという巡り合わせは、皮肉としか言いようがない。

2011年にバイデン氏がオバマ政権の副大統領として訪中した際、習近平氏がカウンターパートだった(写真:AP/アフロ)

 20年10月の第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)では、中国が科学技術の自立を目指す方針が明示された。中国国内ではファーウェイが上海に半導体工場建設を計画しているなどの噂も流れる。だが、最大の泣きどころである半導体分野で自立を実現するのは、5カ年計画の期間中には不可能といっていい。

 中国政府も米国がバイデン政権に移行したところで、対中強硬姿勢は変わらないだろうと見ているようだ。香港や新疆ウイグル自治区などの人権問題にはむしろトランプ氏よりも厳しい姿勢で臨むとみられる。一方、バイデン氏がオバマ政権の副大統領として2011年に訪中した際、習近平氏がカウンターパートとして付き添ったことがあり、トランプ氏よりは気心が知れている面はありそうだ。

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