「もしトランプが再選したら」──。今回は石破茂衆院議員。前回の大統領選前の「もしトラ」では、選挙前に「トランプは『トランプ』を演じている」、そして選挙後に「トランプ大統領は豹変する」と2回登場し、日米の安全保障を中心に予想を展開した。4年ぶりの登場で、今後をどう見ているのか。自民党総裁選に立候補したこともあり「もし石破氏が首相になったら」の仮定も含めて聞いた。

これまでの記事と今後の主な予定
・「中国にとって好ましいのはトランプ氏勝利」笹川平和財団・渡部氏
・パックン「イラク戦争を始めたあのブッシュですら恋しくなる」
・前嶋和弘氏(上智大学教授)
・シーラ・スミス(米外交問題評議会日本担当シニアフェロー)

<span class="fontBold">石破茂(いしば・しげる)氏</span><br> 1957年生まれ、63歳。鳥取県八頭(やず)郡八頭町郡家(こおげ)出身。79年、慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)入行。86年、旧鳥取県全県区より全国最年少議員として衆議院議員初当選、以来11期連続当選。農林水産政務次官や農林水産総括政務次官・防衛庁副長官、防衛庁長官を経て、2007年に福田内閣で防衛大臣に。今年9月に実施された自民党総裁選には4度目の出馬。マンガでは、「おそ松くん」「サブマリン707」「加治隆介の議」「沈黙の艦隊」「サンクチュアリ」が大好き。お酒はなんでも飲むが、特に日本酒(辛口)とワイン(辛口)。音楽は特に1970年代のアイドルもの(その中でも特にキャンディーズと南沙織)、ユーミンや伊勢正三などのニューミュージック系を好む。(写真:的野弘路、以下同じ)
石破茂(いしば・しげる)氏
1957年生まれ、63歳。鳥取県八頭(やず)郡八頭町郡家(こおげ)出身。79年、慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)入行。86年、旧鳥取県全県区より全国最年少議員として衆議院議員初当選、以来11期連続当選。農林水産政務次官や農林水産総括政務次官・防衛庁副長官、防衛庁長官を経て、2007年に福田内閣で防衛大臣に。今年9月に実施された自民党総裁選には4度目の出馬。マンガでは、「おそ松くん」「サブマリン707」「加治隆介の議」「沈黙の艦隊」「サンクチュアリ」が大好き。お酒はなんでも飲むが、特に日本酒(辛口)とワイン(辛口)。音楽は特に1970年代のアイドルもの(その中でも特にキャンディーズと南沙織)、ユーミンや伊勢正三などのニューミュージック系を好む。(写真:的野弘路、以下同じ)

4年前の米大統領選でも「もしトラ」にご登場いただきました。大統領選まで1カ月を切りました。改めて「もしトラ」を伺いたく……

石破茂・衆院議員(以下、石破氏):もう、前回と同じでいいですよ(笑)。

そうはおっしゃらず(笑)。トランプ政権の4年を石破さんはどう見ますか。

石破氏:サスペンスとディールを具現化した。疑心暗鬼を意図的に作りあげ、相手を不安や緊張といった安定しない心理状態に追い込んで取引する。再選に向けて功績を自画自賛していますが、少なくとも世界が前よりよくなったと考える人は少ないでしょう。

 新型コロナウイルスの大流行への対策も、米国が成功しているとは思えない。イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンとの国交正常化や、台湾へのチェコの代表団の公式訪問、ソマリランドによる台湾の代表機関の設置……。背後には米国の影が見えます。

 新型コロナに関連して中国に厳しい姿勢を見せるのは、国内対策の失敗を認めず、再選するためのアクションでしょう。ただ、ビジョンがないままに行動を起こし、世界が混乱に陥るという構図はどの問題でも変わりません。

日米関係の現状と今後をどう見ますか。

石破氏:日米関係は良好だと言われています。安倍晋三前総理がトランプ大統領と親密な関係を構築したこと自体は日本にとって有益であったと思います。

 ただ、何かが本質的に変わったわけではありません。日米同盟の本質としての防衛力、抑止力は維持されていますが、強化されたとは言い難いのが現状です。日本のミサイル防衛態勢は、一応最低限の能力をそろえたところで足踏みしています。イージス・アショア(陸上配備型ミサイル防衛システム)の配備が停止され、周辺国の新型ミサイルへの対策もまだ決まっていません。

 日本が位置する東アジア地域で、中国の存在は意識せざるを得ません。中国の航空母艦「遼寧」や「山東」は、単体ではいまだ米軍の第七艦隊(ハワイに司令部を置き、日付変更線以西の西太平洋やインド洋が担当海域)の能力を上回るものではありませんが、人民解放軍の海軍総体としての能力はもはや日本を凌駕し、日米同盟との差をも急速に埋めつつある。

 中国は、香港はアヘン戦争で英国に取られた地域、台湾は日清戦争で日本に割譲した地域と思っている。香港国家安全維持法で一国二制度を事実上なきものにしようとしたら、次のターゲットは台湾。そしてその先にあるのは沖縄や南西諸島です。日本はその時どうすべきかを、真剣に考えなければいけません。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1853文字 / 全文3201文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

世界の頭脳に学ぶウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題