「もしトランプが再選したら」──。今回はタレントのパックンさん。2016年の大統領選前の「もしトラ」では、「トランプは何もできないではなく、何もしない」と大胆予想を展開した。4年ぶりの登場で、前回予想を振り返りつつ、「もしトランプが再選したら」を改めて聞いた。

これまでの記事と今後の主な予定
「中国にとって好ましいのはトランプ氏勝利」笹川平和財団・渡部氏
・石破茂氏(衆院議員)
・前嶋和弘氏(上智大学教授)
・シーラ・スミス(米外交問題評議会日本担当シニアフェロー)

<span class="fontBold">パトリック・ハーラン氏</span><br> 1970年米国コロラド州出身、49歳。米ハーバード大を卒業後、友人の誘いで来日。福井で英会話学校の講師をする傍ら、アマチュア劇団で活動後、上京。お笑いコンビ「パックンマックン」を結成。テレビや雑誌のコメンテーターとして活躍の場を広げ、2012年に東京工業大学リベラルアーツセンターの非常勤講師に就任(写真:的野弘路、以下同)
パトリック・ハーラン氏
1970年米国コロラド州出身、49歳。米ハーバード大を卒業後、友人の誘いで来日。福井で英会話学校の講師をする傍ら、アマチュア劇団で活動後、上京。お笑いコンビ「パックンマックン」を結成。テレビや雑誌のコメンテーターとして活躍の場を広げ、2012年に東京工業大学リベラルアーツセンターの非常勤講師に就任(写真:的野弘路、以下同)

4年前の「もしトラ」にご登場いただき、「トランプは何もできないではなく、何もしない」と予想して反響を呼びました。実際の4年を振り返って、予想は当たっていましたか。

パトリック・ハーラン氏(以下、パックン):「何もしない」は言い過ぎました。素直に謝ります。すみませんでした。前回もお話ししましたが、僕はリベラル思想を持っているので共和党に票を入れたことはありません。自分でも理解していますが、考えや発言にはバイアスがかかっていると思ってください。

 それでも評価すべき点はあります。思想は違っても認めるべきところは認める。僕はウソは言いません。トランプ氏は「強い姿勢を持っていい」という大統領像を内外に示した。これは良いこと。ただ、全面的に賛成かといえばそうではなく「半分賛成」という感じです。

 例えばイスラエルと中東諸国の国交正常化。アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンなどとの国交正常化にこぎつけた。これ自体は良いこと。ただ、賛成できないのはパレスチナ人を切り捨てているからです。

手法に問題がある、と。

パックン:そうです。あれ、でも待ってください。4年前の記事を見ると、「メキシコとの国境に壁を作ったりすることはまずできない」「TPP(環太平洋経済連携協定)は批准しないと思うけれど、その代わりになるものは作れない」「オバマケアと呼ばれる医療保険制度改革を廃止すると言うけれど、その代わりになる制度を議会を通すとことはできない」と僕は予想しています。……全部当たっていますね。

確かに、壁建設は予算が承認されず、米国はTPPに代わる枠組みを作れていません。

パックン:だから「何もしない」ではなかったけれど、予想の中身は思っているほど外れていない。むしろ合っている。さっきの「すみません」は返してください!

お返しします(笑)。振り返りの続きですが、4年間で米国はどのように変化したと感じますか。

パックン:トランプ氏の暴走は予見できましたが、それを周りがここまで止められないとは思いませんでした。大統領は議会の法律に制限されてはいけないという権限を持っていると主張し、それを無制限に活用している。連邦最高裁の判事についても、トランプ氏は選挙を待たずに保守派のエイミー・バレット判事を指名し、保守とリベラルの均衡を壊そうとしている。

 かつてケネディ大統領が実弟を司法長官に任命した後、共和党が率いる議会は「家族を要職に就けるとは」と厳しく非難しました。一方、トランプ氏は娘婿のジャレッド・クシュナー氏を大統領顧問に据えたにもかかわらず、誰も声をあげようとしない。

 共和党の常識人たる重鎮、大物たちがトランプ氏を野放しにしてしまった。共和党大会にもブッシュ家やレーガン一家、マケイン元上院議員の家族、チェイニー元副大統領の関係者などが来ませんでした。与党に自浄作用が見えない。そこが一番怖いです。

 前大統領補佐官のジョン・ボルトン氏も回顧録でトランプ氏について「無能」だとか、「できないことはできないし、やろうとすることは間違っている」と暴露しています。

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