就職活動が本格化する3月に大規模イベントの自粛要請が重なり、その後の緊急事態宣言で人に会うのも難しくなった大学4年生。2021年卒の就職活動は新型コロナウイルスに翻弄された。「新卒採用ニューノーマル」の姿を探る本連載。今回は新型コロナの影響を受けた最初の世代である4年生の就職活動を振り返る。

2019年3月に幕張メッセ(千葉市)で開催された合同説明会の様子。20年は大規模な合同説明会が相次いで中止に追い込まれた(写真:森田直樹/アフロ)
2019年3月に幕張メッセ(千葉市)で開催された合同説明会の様子。20年は大規模な合同説明会が相次いで中止に追い込まれた(写真:森田直樹/アフロ)

 「就活するのが『五輪効果』で景気がいい年でよかったね、なんて同級生と話していたのに……」。こう話すのは、学習院大学に通う4年生の女子学生だ。

 選考時期が早いメディア業界を志望していたこの学生は、2019年に3社のインターンシップにも参加した。ただ内定を得られないまま2月末を迎えると、政府が大規模イベントの自粛を要請し始めた。「ある広告関連の企業では選考が進んでいたが、3月に入り突然音沙汰がなくなった。すごく不安だった」と打ち明ける。

 結果的には7~8月に2社から内定をもらって就職活動を終えた。「5月ごろには1社は内定をもらえるだろうと先輩から聞いていたが、自分も周りの友人も一向に内定をもらえず、皆意気消沈していた」と新型コロナに翻弄された就職活動を振り返る。

4月時点の内定率は前年を上回っていたが…

 新型コロナの影響で、3月から本格的に始まるはずだった21年卒の学生の就職活動のスケジュールは大きく後ろにずれ込んだ。展示場などで実施される大規模な合同企業説明会は相次ぎ中止になり、個別企業の採用説明会や、進行中だった採用面接なども中断に追い込まれた。

 採用スケジュールがコロナ禍によってずれ込んだことは学生の内定率からも読み解ける。21年卒の学生の内定率は当初、平年を上回るペースで推移していた。就職情報のディスコ(東京・文京)の調査によると、20年4月時点の内定率は前年の4月時点に比べ、8ポイント程度高い34.7%だった。

 ディスコの武井房子上席研究員は「近年は就職活動の前倒しが進んでいた」と話す。21年卒の採用は卒業・就職前年の「3月解禁、6月選考開始」というルールができて5年目。優秀な人材を獲得しようと、そのルールに縛られず早期に採用活動を始める傾向が強まっていた。

次ページ 採用のチャンスと捉えて果敢に動く企業も