日々の授業はオンラインでの履修が続き、友人たちともなかなか集まれない大学生。中でも就職活動を控える大学3年生の不安は大きい。コロナ禍を前提とする「新卒採用ニューノーマル」の姿を探る本連載。第1回は企業の採用意欲と大学3年生の意識の変化を見ていこう。
「第1志望はJTBなんですけど、ちゃんと採用してくれるんですかね……」。不安げな表情を浮かべるのは有名女子大に通う3年生だ。観光ビジネスを学ぶ学部に所属するこの学生は「周りには航空会社志望の子が多い。私たちの代は採用してくれるのかと皆不安になっています」と話す。

コロナ禍が事業に与える影響を読み切れない状況が続く中、企業の新卒採用意欲が減退している。その代表格が、大幅な需要減に見舞われて業績が悪化した航空業界。21年卒、すなわち現在の大学4年生を中心とする新卒採用を、ANAホールディングスや日本航空などが軒並み中止した。旅行業界ではJTBこそ採用を継続したものの、エイチ・アイ・エス(HIS)が6月に採用活動の中止を決めた。
21年卒の採用は、全体で見ても減少傾向にある。就職情報のディスコ(東京・文京)が7月上旬に全国1263社を調査したところ、21年卒の採用者数を20年卒に比べ「減らす」と回答した企業が全体の27.6%に上った。特に製造業で多かった。「増やす」とした企業は15%にとどまる。ディスコの吉田治社長室室長は「公にしなくても、選考の過程で内部的に採用目標を下方修正した企業は多そうだ」と見る。
リクルートのリクルートワークス研究所によると、21年卒の大学生・院生の新卒求人倍率は20年6月時点で1.53倍。20年卒の1.83倍から大きく低下した。リーマン・ショックや東日本大震災の影響があった時期の水準ほどには落ちていないとはいえ、ここ5年ほどの「売り手市場」にコロナ禍が終止符を打ったのは確かだ。
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