モノ消費からコト消費への転換、SNSによるマーケティング、生活を便利にする真のイノベーション──。買い手優位に抗い、消費不況が長引く中でも日本企業は様々なヒットを生んできた。だが、新型コロナウイルスの蔓延により消費者のニーズがシフトし、かつての「成功の方程式」は威力を失っている。ちょっとした工夫や意外なニーズの掘り起こしでコロナ禍でも成果を上げ続ける流行請負人たちの動きから、「ヒットの新法則」を導き出す。(写真:PIXTA)
シリーズ
ヒットの新法則

11回
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コロナ禍でもイノベーションはヒットの源、花王キュレル・スプレー
新型コロナウイルスで消費の風景は激変している。異例の市場環境でも、カテゴリー全体が不調でも、販売を伸ばした商品があった。「世の中になく、消費者が求めているもの」を考え続けた商品は、コロナ禍でも強かった。
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イライラ解消に商機、時短超えたすっきり感 ポータブルクーラー
7月に発売したアイリスオーヤマの「ポータブルクーラー」が当初計画比1.4倍の売れ行きだ。設置工事が不要。コロナ禍でイライラ解消需要が見え始めている。
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規格外は強い 森永乳業、業界初の常温保存飲むヨーグルト
森永乳業は6月、業界初の常温保存ができる飲むヨーグルトを発売した。125ミリリットルの24本セットでEC (電子商取引)専用商品。働く母親をターゲットにまとめ買いを想定し、鉄分を配合した。9月の販売額は計画比の230%で…
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小林製薬、「ニキビ予防」ローションはコロナ禍に強かった
小林製薬のスキンケアブランド「オードムーゲ」の売れ行きがいい。主力の薬用ローション製品はコロナ禍に左右されにくいカテゴリーだが、3~8月の出荷数量が100万本を超え前年比約120%となった。洗顔剤などを含めたブランド全体…
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非対面接客の乗数効果、リアルの代替を超えた
非対面のオンラインなら1人のベテラン社員が複数店舗の接客にあたることもできる。対面の代替にとどまらない「非対面」の価値を活用しようとする動きが始まった。
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プロ仕様は心をくすぐる サンスター、1200円の家庭用洗剤
300円前後の商品が主流の家庭用洗剤で、1本1200円(税別)のサンスター「輝き洗剤キーラ」が売れている。2018年9月に発売した水回り用洗剤は、高額ながら徐々に人気が高まり、今年3~8月の売り上げは前年同期比2.5倍に…
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データで引き出す声なき声、コロナ禍でジャケットが売れた
コロナ禍での象徴的な苦境業種になっているスーツ業界。オーダーメードスーツを中心に手掛けるファブリックトウキョウが3月に発売したビジネス用カジュアルジャケットが売れている。移ろう市場で「オーダー」が効力を発揮している。
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レッドオーシャンを青にする、ポテチ・たらこスパゲティ
他社が手掛けない領域に手を出す「ブルーオーシャン戦略」。一見すると競合がひしめく「レッドオーシャン」に見える領域であっても、発想を変えて取り組めばブルーオーシャンを探り当て、ヒットを生む可能性が出てくる。
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[体験談募集]飲み会減、浮いたお金どこに?新常態の消費習慣とは
新型コロナウイルスをきっかけに在宅勤務が広がるなど、生活のあり方が大きく変わっている。それに伴い、消費習慣も変化してきているのではないだろうか。「以前は仕事帰りに夕食の食材を買っていたが、今は在宅勤務の傍らネットで注文す…
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「神風じゃない」、コロナ禍で広がる小さなプラットフォーマー
「3年かけて2000人集めた出品者が、たった3カ月で1000人増えた」。農産物の売買を仲介するサイト「ポケットマルシェ」を運営するポケットマルシェ(東京・渋谷)の髙橋博之社長はコロナ禍で急増した利用状況をこう話す。新興プ…
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新連載:いろはすのラベルレスがヒット、コロナ禍で「善は金なり」
新型コロナを機に、エシカル消費の機運が高まりつつある。日本コカ・コーラは「いろはす」ブランドにラベルレス製品を投入し、ヒットさせている。危機下で増す善行の価値。消費者の変化をいち早く掴んだ企業やブランドが、コロナ禍でも成…
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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