全4174文字

 「1カ月前倒しで4万5000の基地局配備を完了した」。8月17日、広東省深圳市は中国で初めて市内全域を高速通信規格「5G」ネットワークでカバーしたと発表した。

 中国では5Gの基地局配備が急ピッチで進んでいる。ただし、5Gが全面的にカバーされていない地域では、4Gと切り替えながら使うため通信速度が落ちるエリアがでる。通信機器世界大手の華為技術(ファーウェイ)やZTE(中興通訊)のお膝元である深圳市は、5Gのフルスペックの性能を遺憾無く発揮できる環境をいち早く整えた。

中国各地で5Gネットワークの配備が急ピッチで進む(写真:ロイター/アフロ)

 こうした5Gネットワークの整備は、中国がコロナ後の景気回復を目指して打ち出した経済対策の象徴的な存在だ。中国は5GやAI(人工知能)、EV(電気自動車)充電ネットワークなどデジタル関連のインフラを「新基建(新型インフラ建設)」と総称し、経済対策の目玉に位置付けた。そのほか、老朽化が進んだ住宅街を改修して先進的な都市にすることや、水利・交通などのプロジェクトを対象として挙げている。単なる経済刺激策に終わらせず、コロナ禍を奇貨としてデジタル立国の基盤を整備していく狙いが鮮明だ。

各地で工事が活発化している(上海市内)

 一方、5月末に開催した最高権力機関、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、李克強首相は「優良なプロジェクトを選定し、後遺症を残さずに投資の効率と効果を持続的に発揮させなければならない」と強調した。各国が財政赤字による向こう傷を恐れずに大盤振る舞いに突き進む中で、中国はなぜ慎重姿勢を崩さないのか。