新型コロナの感染拡大を受け、世界中で広がった経済対策のための「大盤振る舞い」。OECDによると、2021年の公的債務残高は19年比12兆ドル増えて81兆6000億ドルに膨れる。コロナによって世界の公的債務が2割積み上がる格好だ。困っている人を助けて秩序を守るのが社会や国家の務めとはいえ、たがが外れては逆に秩序を乱すことになる。withコロナ時代のマネーを考える特集。第1回は乱発される支援金について。

(写真:PIXTA)

 コロナ禍の逆風を一時的にしのぐための資金面の支援が、国や自治体の後押しのもとに乱発されている。サービス業や製造業など業種を問わず中小企業に対する手厚い支援策は、多くの経営者の金銭感覚をマヒさせる“麻薬”なのかもしれない。

 「もう安心。いつ潰れても大丈夫だ」――。

 一部の経営者らの間では今、こんな会話が盛んに交わされているという。倒産の危機に安心感を覚えるという奇妙な現象の背景には、行政と金融機関が足並みをそろえて進める「実質無利子・無担保の融資」の企業支援がある。あくまで事業体を存続させるための措置だが、この「大盤振る舞い」が経営者のモラルハザードを引き起こしている。

「担保なし」にすり替える動き

 一般的に小規模な企業は、経営者の保有する資産を担保に金融機関から資金を借り入れることが多い。ただ、現在はコロナ禍における緊急事態。日本政策金融公庫や商工組合中央金庫は、実質無利子・無担保の融資を展開しており、「担保付き」の融資を「担保なし」にすり替える動きが広がっている。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1817文字 / 全文2473文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題