
コロナ禍であらためて明らかになったことの1つが、日本の「デジタル後進国」ぶりだ。押印のための出勤など、デジタル化を真剣に進めていれば、容易に解決できた問題も多い。一報、デジタル技術を駆使して新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んでいるのが台湾だ。台湾のデジタル戦略には日本が学ぶべき部分が多い。
【この連載のこれまでのラインアップ】
第1回 花王が挑む「FAX一掃作戦」、コロナ特需で電子化は逆行
第2回 加速する三井物産の印鑑レス、それでも残る「岩盤」
第3回 コロナで遅延危機、リモートで決算乗り切ったセゾン情報システムズ
第4回 メルカリ山田社長「社会全体にエンジニア的な視点が必要」
第5回 楠正憲氏「システムのオープン化とバブル崩壊の重複が日本の不幸」
第6回 コロナで業務集中の保健所、船橋市が乗り越えた行政の壁
第7回 台湾IT担当大臣のオードリー・タン氏「デジタルは自由のために」

台湾で新型コロナウイルスの最初の感染者が出た1月21日以降、台湾の薬局やスーパーには大勢の人がマスクを買うために押しかけた。需給ひっ迫の危険性を感じた当局は1月24日、医療用マスクの輸出を禁止し、同30日には国内で製造するマスクはすべて台湾当局が管理するとして収用を開始した。全国に行き渡らせる体制を整えたものの、不安を感じた住民によるマスク買い占めも起こり、店舗の在庫はすぐになくなってしまう。
マスクはどこにあるのか。SNSなどにはさまざまな情報が飛び交った。そんな時、台湾南部・台南市のプログラマーが、マスクが買える場所を地図アプリから検索できるシステムを開発し、公開していた。
「これを台湾全土に広められないか」。アプリを見たとき、台湾のIT担当の政務委員(閣僚)、オードリー・タン(唐鳳)氏は即座に思ったという。(関連記事:台湾IT担当大臣のオードリー・タン氏「デジタルは自由のために」)
折しも2月3日、台湾当局はマスク不足対策として同6日から1人当たりのマスク販売枚数を制限し、健康保険証のICカードを使って購入履歴を管理すると発表していた。もともと処方箋が必要な薬の購入などに用いていた同システムを、マスクの流通統制に使うことにしたのだ。
3日で完成したマスクマップ
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