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コロナ禍であらためて明らかになったことの1つが、日本の「デジタル後進国」ぶりだ。押印のための出勤など、デジタル化を真剣に進めていれば、容易に解決できた問題も多い。特に公的機関の後れが目立つ。政府はデジタル強国戦略に約20年前から取り組んできたが、思うように進んでいない。そんな中、2週間でデジタル化を実現したのが千葉県船橋市の保健所だ。

【この連載のこれまでのラインアップ】
第1回 花王が挑む「FAX一掃作戦」、コロナ特需で電子化は逆行
第2回 加速する三井物産の印鑑レス、それでも残る「岩盤」
第3回 コロナで遅延危機、リモートで決算乗り切ったセゾン情報システムズ
第4回 メルカリ山田社長「社会全体にエンジニア的な視点が必要」
第5回 楠正憲氏「システムのオープン化とバブル崩壊の重複が日本の不幸」

(写真:AFP/アフロ)

 「新型コロナウイルス禍で浮き上がったのは、デジタル化の必要性であります」

 9月14日、自民党の新しい総裁に菅義偉氏が選ばれた。その6日前の9月8日に開かれた自民党の総裁選候補者の所見発表で、菅氏は「複数の役所に分かれている政策を強力に進める体制として、デジタル庁を新設いたしたい」と決意を語った。

 同じく総裁選に出馬した岸田文雄氏は「ビッグデータや5Gをはじめとする最新の技術を新しい時代の成長エンジンにしたい」と述べ、データ庁とデジタルトランスフォーメーション(DX)推進委員会の創設を訴えた。

 歴代最長政権が幕を閉じ、約7年8カ月ぶりに日本の「顔」が変わる重要な節目。自民党の総裁候補が新政権での政策の柱に掲げたのがデジタル化の推進だ。日本のデジタル化は他の先進国に比べて遅れているといわれて久しい。それを国民一人ひとりが痛感した出来事がコロナ・ショックによる混乱だ。

 「10万円のオンライン申請に必要なマイナンバーカードの発行手続きに来たのだがこんなに時間がかかるとは」「マイナンバーカードの暗証番号再設定のためだけに長時間並んでいる」