三井物産が東南アジアを中心に健康・医療プラットフォームの構築を急いでいる。2011年に出資した病院グループが持つ3000万人分以上の患者データを活用する。資源偏重の収益構造を脱するためにまいた種が芽を吹き、大きく育とうとしている。

 BMW、メルセデス・ベンツ、ポルシェ……。車寄せにはドイツの高級車が列を成していた。アジアを代表する富裕国シンガポールのイメージを裏切らない車列の脇を抜けて、エントランスに足を踏み入れるとまたぜいたくな空間に目を見張った。

 ダークブラウンを基調とする落ち着いた雰囲気。まず目に留まるのはグランドピアノだ。床や受付カウンターには惜しみなく大理石が使われ、大きなソファがゆったりと並ぶ。

 病院の取材と聞いてきたが、高級ホテルか富裕層向けのコンドミニアムかと見まがう空間には、白衣姿の人も見当たらない。

シンガポールのマウント・エリザベス・ノビナ病院。三井物産が出資しているIHHヘルスケアが運営する拠点病院の一つだ
シンガポールのマウント・エリザベス・ノビナ病院。三井物産が出資しているIHHヘルスケアが運営する拠点病院の一つだ

 シンガポールで最もラグジュアリーな病院として知られる、ここマウント・エリザベス・ノビナ病院を訪ねたのは、この病院を傘下に持つ民間病院グループでマレーシアに本拠を置くIHHヘルスケア(IHH)を舞台に、大手商社・三井物産の収益の柱が育ちつつあるからだ。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1983文字 / 全文2491文字

【初割・2カ月無料】有料会員の全サービス使い放題…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「総合商社「冬の時代」に挑む」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。