スマートフォンのチャットによる飲料販売、全米での生鮮食品配送サービス、国内最大級の化粧品ECプラットフォーム──。
2019年6月に設立した丸紅のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、丸紅ベンチャーズ(東京・中央)が投資したスタートアップだ。社長を務める福村俊宏(50歳)は、「あえて丸紅の既存事業から距離が遠いところへの投資を狙う」と語る。
CVCは、自社事業とのシナジー(相乗効果)が期待できるスタートアップに投資する組織で、大手企業が自社の成長スピードを高める狙いでつくることが多い。福村は、「メーカーは自社製品とのシナジーを狙えばよいが、商社は自分たちが持っていない『ネタ』を取りにいくべきだ」と話す。
総合商社が事業会社に投資すること自体は珍しくないが、あえて福村は本社から距離を取ったCVCの設立に奔走し、3割は外部の人材を招いた。社内でCVCに対する反対意見もあったが、「数年は何も言わないでください」と押し切った。
福村自身、丸紅を一度退職し、その後戻ってきた「再入社組」だ。「総合商社は10年に1度の変革期を迎えている。外から来た人間も分け隔てなく、力を発揮する環境でなければならない」と言い切る。

「のんびりしてよ」に我慢できず
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