「異次元の少子化対策」を掲げる岸田文雄政権。2月下旬には、「2022年の出生数、初の80万人割れ」という衝撃的なニュースが報じられ、危機感はかつてなく高まっている。一方、児童手当の所得制限の見直しや、結婚や出産に伴い奨学金の返済を減免する制度など取り沙汰されている支援案が、抜本的な解決につながるか不安を感じる人は少なくないだろう。そんな中、西村康稔経済産業相が3月16日、女性社員の出生率を爆発的に向上させた伊藤忠商事を訪問。同社の岡藤正広会長CEO(最高経営責任者)は、「お金は大事だが、すべてではない」と語った。少子化を食い止めるには、どんな考え方が重要になるのだろうか。
伊藤忠商事の社内託児所を視察する西村経産相(写真:経済産業省提供)
伊藤忠商事の社内託児所を視察する西村経産相(写真:経済産業省提供)

 「認可保育園に通らなかったが、子どもをここに預けられたので、妻も働くことができています」

 3月16日午前7時30分頃、東京・港の伊藤忠商事東京本社に隣接する社内託児所。子どもを預けた男性社員が、西村経産相にこう語った。男性社員は毎朝子どもを抱いて出勤し、託児所に預けている。夕方に、別の職場で働いている配偶者が子どもを迎えに来るという。

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