新型コロナウイルスの感染拡大を機に、がらりと変わった日本人の働き方。連載「どうなる? 働き方ニューノーマル」では、前回まで富士通キリンホールディングスカルビーリコーの企業ケースを取り上げてきた。今回は、政府の取り組みに視点を変える。インタビューしたのは、西村康稔・経済再生担当相。新型コロナ対策として広がったテレワークからジョブ型雇用などについて、どのように見ているのか。そして、政府として働き方の激変に、どのような政策で向き合うのか、話を聞いた。

(写真:竹井俊晴)

新型コロナ感染防止対策としてテレワークが広がりました。働き方が柔軟な方向に進みましたが、現状をどのように見ていますか。

西村康稔・経済再生担当相(以下、西村氏):感染が拡大した20年3~5月の間、都内では6割近くがテレワークをしました。これはすごく大きな意識・行動の変化を生みました。大事なのは、この経験や意識の変化を後戻りさせないこと。内閣府の調査で、テレワークを経験した多くの人が「引き続きやりたい」と回答しています。例えば、「家族と過ごす時間が増えた」という人が全体の7割ぐらいいて、うち約8割が「テレワークを継続したい」と答えています。ですから、この大きな変化を絶対前に進めなければなりません。

 もう1つのキーワードは、ワーク・ライフ・バランスです。内閣府の調査では「夫の役割が増えた」と回答した人が、26%増えました。これまで夫が育児を手伝ってこなかったのが少子化の大きな要因の1つでした。この経験を機にワーク・ライフ・バランスへの取り組みも積極的に進めていきます。

これまでも政府は働き方改革を着実にやってきました。その効果と今後の課題は。

西村氏:安倍政権は雇用を非常に重視してきました。残業時間の上限規制を入れたことと、同一労働同一賃金制度を入れたことは1つの大きな成果です。例えば、6月の毎月勤労統計調査で、パートタイム労働者の特別給与が前年比で35.5%上がりました。これまではおそらくパートの方に特別給はそれほど出ていなかったと思います。同一労働同一賃金の導入により同じ仕事をしていれば同じ待遇に、ということが進んでいます。全体的にコロナ禍もあって労働時間も給与所得も減っていますが、同一労働同一賃金などの制度改革によって、パートタイムをしている方々の給与を増やすことで所得を下支えしています。

 アベノミクスでは、女性の活躍も重視しました。2012~19年の期間中、生産労働人口が500万人以上減る中、新たに400万人以上が仕事に就きました。その半分は女性です。

 一人ひとりの平均を取ると実質賃金は下がったといわれますが、例えば、夫が月給30万円もらっていて、一人で働いていれば30万円のままです。妻が働いて月給10万円もらうとします。平均すると、2人で計40万円を2で割って平均値は20万円になる。統計では30万円から20万円に下がるという数字のマジックのようなものができます。しかし家計としては、30万円の所得だったのが40万円に増えます。つまり、女性が働くことで世帯全体の所得は増えているのです。最低賃金もアベノミクスの7年間で153円、2012年度と比較すると20%引き上げられています。

 安倍政権の取り組みもあり、女性の就業率について結婚・出産期に一時低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇する「M字カーブ」は解消してきました。しかし、30歳以上は非正規雇用者が多く、正規雇用率が20歳後半以降下がる「L字カーブ」の問題が解消されていません。ですから課題は、能力があって意欲ある女性が正社員として、その能力をいかんなくもっと発揮できるようにすることです。多くの企業で女性の登用、活躍がもっと進んでほしい。男性とは別の視点が入ることで、商品・サービスも従来にない様々なアイデアが出て、企業の収益にも寄与すると思います。

続きを読む 2/4 ジョブ型への転換は一気に進む

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