農業機械大手のクボタが2024年に電動トラクターを国内市場に投入することが分かった。まず出力20キロワット弱の小型機を24年に発売し、30年にかけて中小型の機種で電動農機のラインアップを増やしていく。水素燃料を使ったFCV(燃料電池車)タイプの中小型機についても20年代後半の商用化を目指す。電動化や水素活用で農業分野の脱炭素をけん引する考えだ。

クボタが20年1月に公開した電動トラクターの試作機(右)。左は電動小型建機の試作機
クボタが20年1月に公開した電動トラクターの試作機(右)。左は電動小型建機の試作機

 クボタは21年5月末に、50年のCO2排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す環境ビジョンを策定。達成に向けて30年時点の排出量を20年比で30%削減する中期目標を打ち出した。20年に同社が世界で販売した製品のCO2排出量は概算で総計約4000万トン。対策を打たなければ30年には約7000万トンとなる見通しだが、これを同時点で約2800万トンに抑制する。

 CO2排出量の削減に向け、工場で使用する電力を再生可能エネルギー由来のものに転換したり、製品出荷の手段を自動車から鉄道や船舶に切り替える「モーダルシフト」を進めたりといった生産や流通の見直しも進める。しかし、クボタにとっての本丸はトラクターをはじめとする農機製品を顧客が動かしたときに排出されるCO2の削減だ。

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