中国向け輸出額が過去最高の水準にある。背景にあるのは中国の旺盛な設備投資需要だ。産業用ロボットや半導体製造装置のメーカーは「足元の状況は過去最高レベル」と興奮を隠さない。コロナの影響からいち早く抜け出した中国への依存度が高まるのは避けられない情勢になっている。

中国では半導体工場への投資が旺盛だ(写真:Featurechina/共同通信イメージズ)
中国では半導体工場への投資が旺盛だ(写真:Featurechina/共同通信イメージズ)

 「3月、4月と足元の中国での受注状況は単月で過去最高レベル。絶好調だ」。こう話すのは安川電機の担当者。中国での活況に国内の産業機械メーカーが沸いている。

 財務省が5月20日に公表した4月の貿易統計(速報値)によれば、中国向け輸出額は前年同月比33.9%増の1兆5834億円だった。単月で過去最高となった3月に迫る水準だ。中国への輸出拡大をけん引したのは半導体製造装置。移動の制限で設置工事が難しかった前年同月から2.3倍に伸びた。4月の中国向け輸出額は、コロナ禍での落ち込みから回復しただけではない。2年前の同月と比較しても3割弱伸長している。

 背景にあるのは中国の旺盛な設備投資需要だ。コロナの影響からいち早く脱した中国の経済は力強い成長を見せている。中国国家統計局が17日に発表した2021年1~4月の固定資産投資は、前年同期に比べて19.9%増えた。コロナ前の19年同期比でも8.0%増だ。国連は21年の中国の国内総生産(GDP)成長率の予測を年初より1.0ポイント上方修正して8.2%とした。

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