コロナ禍からの経済復興で各国が脱炭素を打ち出したことで、EV(電気自動車)化の流れは一段と加速した。重い電池を搭載したEVの航続距離を延ばすためには、車体の軽量化が欠かせないとあって、活況に沸くのが軽くて強度に優れた材料をそろえる化学・素材各社だ。ポリプロピレンにほかの樹脂や添加剤を加えた混合材料(PPコンパウンド)で、世界2強の一角を占める三井化学は、社内横断体制を組んで軽量化ニーズの取り込みに動く。

 三井化学が得意とするPPコンパウンドは、自動車のバンパーやダッシュボードなどに使われる。不飽和ポリエステル樹脂をガラス繊維などで強化したシート状の材料「SMC」も、車体の軽量化につながるとして有望視されていて、EVのバッテリーパックなどで採用が始まっている。

三井化学のガラス繊維で強化した樹脂材料を使用したバックドア
三井化学のガラス繊維で強化した樹脂材料を使用したバックドア

 モーターで走行するEVでは、エンジン音がない分、かえってほかの騒音が運転手らに届きやすいといった課題があるが、吸音材として解決につながるウレタンも手がけている。

 このように、EV化の進展で需要の拡大が見込まれる樹脂材料を多く有する三井化学だが、これまでは材料ごとに売り込んでいた。ただ、現在はEV化をはじめとする100年に1度の変革期である「CASE」時代。完成車メーカーや1次下請けの研究開発現場はエンジニア不足が深刻で、細かい提案の一つ一つに耳を傾けている余裕はない。

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