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新型コロナウイルスの猛威により「どん底」に突き落とされた日本。どうすれば再興の道へと導けるのか。企業トップや識者による提言を紹介する「再興ニッポン」の番外編として、逆境こそチャンスとばかりに新たな高みに挑戦する人物や組織、企業を紹介する。今回は教育のIT化で独自の道を突き進む佐賀県と、独自の子育て支援策で人口流入が続く千葉県流山市。国の方針に従うだけでなく、住民のために何が必要かを考えて実行に移す「自律性」があるかどうかが、コロナ禍で問われている。

 「地域のリーダーと住民がどういうキャッチボールをして、どういう街を構想し、一緒に創造していくのか。今まで以上に地域によって差別化される時代になってきた」。佐賀県の山口祥義知事はこう話す。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、各自治体の取り組み、そしてトップの発言が今まで以上に注目を浴びている。国の動きに「前倣え」の対応を取っているだけでは住民の理解は得られない。それぞれの地域の主体性が今、必要だ。

山口 祥義(やまぐち・よしのり)氏 佐賀県知事。1965年生まれ。東京大学卒業後、自治省(現・総務省)に入省。JTB総合研究所などへの出向も経験したのち、2015年に佐賀県知事に就任(写真:諸石信)

 「国に従うべき大きな方針はもちろんあるが、それ以外の具体的なことは僕ら(自治体)に任せてくれたらいい」。こう話す山口知事が率いる佐賀県は、2月末の政府の休校要請以降、オンライン授業などへの対応で混乱を極めた教育分野で独自の施策を取っている。

 政府は2019年に小中学校で生徒1人に1台のコンピューターを配備することを柱とした「GIGAスクール構想」を掲げた。当初は23年度中に「1人1台」を実現する計画だったが、コロナ禍の中、十分な形で遠隔授業を実施できた学校がごくわずかだったこともあり、21年3月末までに配備を済ませる方針を決めた。

 ただ、実現性を疑問視する声は大きい。文部科学省によると、19年3月時点の全国の公立の小中学校・高校などへの教育用コンピューターの整備率は18.6%。生徒5.4人に1台しか配備されていない計算だ。地域間でも格差があり、最も導入が遅れている愛知県では、生徒7.5人に1台しかコンピューターがない。予算不足や機器の在庫不足などが配備の遅れの背景にあるが、コロナ禍の長期化が見込まれる中、早急な対応が求められている。

 そんな中、佐賀県は14年から県立の全高校で生徒1人に1台、タブレット端末を整備している。県の取り組みに呼応するように市町村による小中学校へのPCなどの配備も進んだ。19年3月時点の佐賀県の小中学校・高校の教育用コンピューターの整備率は53.9%。生徒1.9人につき1台が配備されている計算だ。整備率は全国平均の約3倍、都道府県別で断トツだ。