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1991年に12兆円あった百貨店業界の販売額は、2001年に10兆円を割って以降、ほぼ毎年下がり続けている。近年はインバウンドに活路を見いだしていたが、それでも19年には6兆円超とピークからほぼ半減している。追い打ちをかけたのが新型コロナウイルス。三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦社長に現状の分析と、これから打つべき手を語ってもらった。

杉江 俊彦氏(すぎえ・としひこ)
1983年慶応義塾大学法学部卒業、伊勢丹(現三越伊勢丹)入社。09年伊勢丹執行役員営業本部MD統括部食品統括部長兼食品営業部長。12年三越伊勢丹ホールディングス取締役常務執行役員経営戦略本部長。16年取締役専務執行役員。17年代表取締役社長執行役員、20年取締役代表執行役社長CEO(現任)。東京都出身。(写真:竹井 俊晴)

百貨店業界は20年ほどの長い低迷が続いています。改めて、その原因は何なのでしょうか。

杉江俊彦氏:かつての百貨店の強みは何だったのかということから振り返ると、町の中心地にあって、交通の便がよく、そこに行けば何でもそろうという利便性がありました。もう1つは、みんなの憧れの商品がたくさんそろっていたということ。ほかにもよかった点はありますが、私はこの2つだと思っています。

 GMS(総合スーパー)などの競合が台頭したり、立地の環境が変化したりすることで、昭和の高度成長期以降、持っていた強みが変わってしまった。町の中心が、駅や車で行きやすい場所に移りました。もちろん銀座や新宿はこれに当てはまりませんから、ひとくくりでは語れないですが。