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インターネットで何でも買え、商品情報もスマホで手に入る現代。わざわざ足を運んで、決して安くはない商品を買いたくなる店を実現するには何が必要なのか──。高島屋社長の村田善郎氏に聞いた。

EC(電子商取引)であらゆるものが手に入る時代に、百貨店に求められている役割とは何なのでしょうか。

村田氏:お客様にとって「新鮮な発見」を提供することなんだと思います。実は百貨店に来店されるお客様のうち、コンビニやスーパーのように、いわゆる「目的買い」でいらっしゃる方は全体の3~4割だけで、それ以外の方は、お店で初めて商品と出合って購入されるんです。意外かもしれませんが、その典型がたんすです。大きくて豪華なたんすが売れるのは、身の回りの小物を買いに来たご夫婦がたまたま商品を目にして、一目ぼれして買われるという場合が多いんです。

 ECがどんなに進んだとしても、リアルな場で、実際に物に触れて、買い物を楽しむ。こうした感動的な体験を希求する気持ちはコロナ禍でむしろ高まっているし、人間のDNAからは絶対になくならない。百貨店は、その役割を十分果たしていけるように進化し続けなければなりません。

村田 善郎[ むらた・よしお ]
1961年10月、東京都生まれ。85年慶応義塾大学法学部卒、高島屋入社。2011年柏店長、13年執行役員総務本部副本部長、15年常務執行役員企画本部副本部長、17年常務総務本部長を経て、19年3月社長就任。(写真:的野弘路)

昔とは異なり、商品に関する情報を誰でもスマホ1つで入手できるようになりました。感動や驚きを与えるためのハードルは上がっていませんか。