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 新型コロナウイルスの影響を受けて企業がサプライチェーン(供給網)のあり方を見直している。産業用ロボット世界大手、ファナックの山口賢治社長兼最高経営責任者(CEO)は「協働ロボットを使ったシンプルな自動化がうまくいく」と見通す。これまで多額の設備投資をかけて極限まで自動化率を高めるのが主流だったが、世界経済が減速する中で、投資費用を抑えて、かつ人の密集を避ける生産ラインを構築する動きも出てきているという。

山口賢治(やまぐち・けんじ)
1968年生まれ。93年東京大学大学院修了、ファナック入社。生産技術畑を歩み、工場自動化を推進。2008年専務、12年副社長、16年社長、19年4月から現職。福島県出身。

新型コロナ感染拡大によって企業の設備投資が急減しています。悪影響はありますか。

山口賢治ファナック社長(以下、山口氏):2020年4~9月期の連結業績見通しでは、売上高は前年同期に比べて約2割減ります。欧州や米国、アジアでのロックダウン(都市封鎖)の影響です。中国では、内需向けの工作機械の制御装置や産業用ロボットの戻りが早く、期待はするものの楽観視はしていません。好調が先々まで続くか、よく見なければならない。中国からの輸出は欧米の影響を受けるので、無傷ではいられないでしょう。

新型の協働ロボットの出荷が伸びているそうですね。

山口氏:ええ。会社全体では設備投資減少の影響を受けますが、ロボットは他の分野より落ち込みが小さい。とりわけ、6月出荷開始の協働ロボット「CRXシリーズ」は、19年末に展示会で披露した際から非常に好評です。かなり受注があって顧客に待っていただいている状況なので月の生産台数を増やして対応するつもりです。

コロナ禍で販促活動は変わりましたか。

山口氏:CRXの受注開始は4月。すでに世界に感染が広がっていました。そこで今回、数十台という規模で量産試作品を作り、日本、米国、欧州、中国などアジアのセールス拠点に配置し、ウェブミーティング形式で紹介した他、あるいは顧客に少人数でお越しいただき性能を試していただきました。従来は顧客に試作品を貸し出す手法でしたが、人と人との接触機会を減らす工夫をしました。