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新型コロナウイルスの猛威は、日本が抱える様々な課題や欠陥を明らかにしました。世界の秩序が変わろうとする中、どうすれば日本を再興の道へと導けるのか。シリーズ「再興ニッポン」では、企業トップや識者による意見・提言を発信しています。今回は日本製薬団体連合会(日薬連)の手代木功会長(塩野義製薬社長)。社会保障制度や感染症対策で国に求めることを聞きました。

手代木功(てしろぎ・いさお)氏
1959年宮城県生まれ。82年東京大学薬学部卒業、塩野義製薬入社。2002年取締役、06年専務執行役員、08年社長。11年5月から14年5月まで、新薬メーカーの業界団体である日本製薬工業協会の会長を務め、18年5月から製薬関連の業界団体の連合会である日本製薬団体連合会の会長。

今日は日薬連会長の立場で、産業がこれからどうあるべきか、日本がどうあるべきかをうかがえればと思います。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の終息が見通せない現状ですが、日本における業界の課題は何だと考えますか。

手代木功・日薬連会長:短期的には、医療崩壊ということがいわれていますが、多くの患者に対して通常の診療ができる状態に持っていかなければいけません。そのためには、我々メーカーのほか卸もそうですが、医療機関がきちんと運営できるようにすることに集中すべきだと思います。情報提供はフェース・トゥ・フェースが必須ではなく、ITや書面を活用していこうというのが業界の立場です。

 もちろん医療側からの要請があれば応じられるよう、常にスタンバイしておく必要はありますが、製薬会社や卸の人間と会うこと自体、時間を取らせる面がある。医療現場が疲弊している中で、そちらに時間を取らせるのは今は得策じゃないと思います。

 中長期的には、社会保障費の問題があります。最終的には日本の国民皆保険制度は何としても堅持したいと考えていますが、一方で社会保障費にも上限があります。それから今回、緊急事態の中で大規模な財政出動をしてしまっているので、中長期に財政再建問題は避けられません。その中で社会保障費をどうマネージするかが重要になるでしょう。

社会保障費を抑制するために業界として何を我慢するか