新型コロナウイルスの猛威は、日本が抱える様々な課題や欠陥を明らかにしました。世界の秩序が変わろうとする中、どうすれば日本を再興の道へと導けるのか。シリーズ「再興ニッポン」では、企業トップや識者による意見・提言を発信していきます。今回は、富士通の時田隆仁社長。コロナ禍で深刻化する米中問題への対応、推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)の可能性に加え、7月に打ち出した大胆な働き方改革の狙いについて聞きました。

<span class="fontBold">時田隆仁[ときた・たかひと]氏</span><br> 富士通社長。1962年生まれ。88年東京工業大学工学部卒業後、富士通入社。2014年金融システム事業本部長、15年執行役員、19年1月執行役員常務、グローバルデリバリーグループ長を経て、19年3月執行役員副社長。19年6月から現職。19年10月にはCDXO(最高DX責任者)も兼任。(写真:北山宏一、以下同じ)
時田隆仁[ときた・たかひと]氏
富士通社長。1962年生まれ。88年東京工業大学工学部卒業後、富士通入社。2014年金融システム事業本部長、15年執行役員、19年1月執行役員常務、グローバルデリバリーグループ長を経て、19年3月執行役員副社長。19年6月から現職。19年10月にはCDXO(最高DX責任者)も兼任。(写真:北山宏一、以下同じ)

新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。富士通の足元の事業への影響は。

時田隆仁・富士通社長(以下、時田氏):IT(情報技術)業界は景気に対して遅行性があります。コロナ禍でもそれは変わりません。(2020年4~6月期は減収増益でしたが)やはり第2四半期(7~9月)の出来が重要です。富士通としては来期(22年3月期)へ向けて緩やかに回復する前提で計画を立てていますが、影響を見極めながら経営せざるを得ません。

 顧客については、ラージアカウント(大手)は決断が早い。プロジェクトの延伸を決めている企業もあります。中堅・中小や行政、医療機関では「とにかくいったん止めて、後で話しましょう」という顧客もいます。その一方で、コロナによってネットワーク回線の拡充や非接触設備を導入してほしいという要求もある状況です。

世界全体で見ると、経済の回復にどれくらいかかると見ていますか。

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