
「2008年のリーマン・ショックのときは、環境が悪化した分、多くの顧客を訪ねることである程度落ち込みを防げた。でも今は足で稼ごうにも顧客に会えない。だからどうしようもない」
東京都内に本社を構える大手人材会社で働くA氏は、こうため息をつく。
A氏は転職支援のための求人を企業から集める専門人材で、主にメーカーを担当する。新型コロナウイルスの感染拡大前、19年の終わりから20年の初めまでは人手不足を背景に活況を呈していた転職支援事業。だが今や、A氏は“三重苦”に見舞われている。
「まず、コロナで派遣社員が減り、自分の事務作業が増えた。そもそも求人を紹介したくてもコロナ禍で企業側の担当者と会えない。そして自分の場合は、担当メーカーの求人自体がコロナで大きく減っている」(A氏)。3月下旬から求人数は一気に4割減。選考基準も瞬く間に厳しくなり、「緊急事態宣言が解除され、顧客が多少は戻ってきているとはいえ、成約になかなか至らない環境は続くだろう」。A氏はこう続ける。
ノルマ未達で年収激減は避けられず

こうなると、心配なのは収入だ。
A氏の年収は750万円で、そのうち固定給部分が540万円。四半期ごとに設定される紹介手数料のノルマをクリアすることで、賞与や別封などとして約200万円が固定給に上乗せされるという。
だが、A氏を含め職場の人たちのノルマの達成度は、おおむねこの4~6月で目標の半分程度にしか届いていないといい、今後、景気回復の遅れとともに一段と営業環境が悪化することを考えれば、年収が激減してもおかしくない。
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