森川光世氏はビッグ4の一角を占める大手監査法人で働く米国公認会計士だ。だが、2022年の9~10月、国境なき医師団のアドミニストレーター(経理・人事・総務の担当者)として、ウクライナでの医療支援に当たった。同氏は「医師でなくても貢献できる。本職があっても支援に参加できる」と訴える。
森川さんはウクライナのどこで医療支援に携わったのですか。
森川光世氏(以下、森川氏):ウクライナ南部の都市ミコライウで2022年9~10月、アドミニストレーターとして働きました。多くのニュースで取り上げられた南部の要衝ヘルソンから北西に60kmほどの場所です。

ウクライナ軍が南部で勢力を回復し、オデッサにあった私たちのプロジェクトの拠点をミコライウに移したばかりのころでした。私が任務を終えた直後の11月11日に、ロシア軍がヘルソンから撤退し、ウクライナ軍が同地入りしました。

アドミニストレーターというのはどのような仕事ですか。
森川氏:企業でいえば経理、人事、総務部で、お金やヒトの管理をします。例えば、プロジェクトの年間予算を立て、月次でレビューをし、必要があれば修正する。緊急予算を策定することもあります。お金の出納も仕事のうち。月ごとに、複数のプロジェクトを統括するチームに必要な金額を伝え、お金を現地に送ってもらいます。
人事では、現地スタッフを採用し、トレーニングを提供します。現地の労働基準法を調べ、違反しないように労働環境を整える。プロジェクトを解散するときには解雇手当を支給する。こうしたことも人事業務のうちです。
さらにオフィスや宿舎、倉庫といった不動産の賃貸契約を結ぶのもアドミニストレーターの仕事です。
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