輸出を促進する究極の策は「日本版FMS」

売るノウハウを身につけるためにはどうすればよいでしょう。

松川:装備品海外移転の先進国は、「損して得取れ」といったビジネスもやります。最初の案件では原価割れで損をするけれども、そこで相手国と関係を築いて以降のより大きな継続的ビジネスチャンスを獲得するという具合です。今の日本の装備品の海外移転は、よちよち歩きの段階。一足飛びには無理ですけれど、先進国に追いつくことが望まれます。

 そのためには、まず防衛装備庁の人員と予算を拡大し、覚悟を決めて取り組むことが肝要です。

 その際、民の力を利用することも必要だと思います。マーケティングや営業のノウハウは役所にはあまりありません。ですから、例えば商社で働くビジネスパーソンを装備移転担当の防衛駐在官に期間限定で採用し、開拓の見込みがありそうな国の日本大使館で働いてもらう。現地の商習慣や商文化への理解を深めたり、防衛当局や防衛産業各社との人脈を築いたり、装備品の調達案件を開拓したり、といったことが期待できます。防衛駐在官だけでなく、防衛装備庁の拡充に当たっても民間人材を活用したらよいと思います。

企業からは日本版のFMSの仕組みを整えるよう求める声が上がっています。FMSは「Foreign Military Sales」の略で「対外有償軍事援助」と訳される仕組み。米政府が安全保障政策の一環として、武器輸出管理法に基づいて同盟国に装備品を有償で提供するものです。米政府と同盟国政府が契約の主体となります。日本も第5世代戦闘機「F-35」やミサイル防衛システム「イージス」を米政府からFMSで購入しています。

 企業側から見ると、政府が政策に基づいて外国政府との契約をまとめるので、外国と交渉する手間がかかりません。取引相手は日本政府なので、通常の調達案件と大きく変わる点がない。「我々(企業)が装備品を提供することで国の政策を支援できる」という意見もあります。

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