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5中全会に臨む習近平国家主席(写真:新華社/アフロ)

中国共産党が「2035年までの長期目標」を示す草案を明らかにした。3期目を目指す習近平国家主席は、その正当性を示す必要がある。中国の政治・経済に詳しい、柯隆・東京財団政策研究所主席研究員は「その手段として台湾統一が浮上するが、実現は難しい」と見る。代わって登場したのが「長期目標」だ。「35年までに1人当たりGDPを倍増させることは可能だ。しかし、国有企業を重視し、民間企業を抑圧する政策は誤りだ」(同氏)。 (聞き手:森 永輔)

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中国共産党が11月3日、第14次5カ年計画と2035年までの長期目標の草案を明らかにしました。柯隆さんはそれぞれのどこに注目しましたか。

柯隆:まず2035年までの長期目標についてお話ししましょう。習近平(シー・ジンピン)政権は3つの意図を示しました。第1は、2023年以降の3期目をにらんで布石を打つ。第2は技術覇権の獲得、そして第3は先進国の仲間入りを果たす、です。

柯隆(か・りゅう)氏
東京財団政策研究所主席研究員。1963年、中国・江蘇省南京市生まれ。88年来日、愛知大学法経学部入学。92年、同大卒業。94年、名古屋大学大学院修士課程修了(経済学修士号取得)。長銀総合研究所研究員、富士通総研経済研究所主席研究員を経て2018年から現職。

 第1の意図について。習近平政権は2018年3月に憲法を改正し、2期10年としていた国家主席の任期を撤廃しました。よって、習近平国家主席は2022年に予定される党大会を超えて3期目を務めることが可能です。

 「5中全会」(正式には「第19期中央委員会第5回全体会議」)はよく知られているように、次の共産党大会に向けて目標や人事案を示す準備の場です。習近平国家主席はこの場で、3期目を務める資格があることを示す必要がありました。

 中国の共産党のトップは選挙で決めるものではありません。それゆえ、別のかたちで正統性を示す必要があります。通常なら経済成長の実績を主張しますが、今回は新型コロナ危機と米中経済対立があり、そういうわけにはいきませんでした。