米大統領選挙の決着がつかない。トランプ大統領が票の数え直しや法廷闘争に言及しており、最終決着には時間がかかりそうだ。ただし、米国政治と日米関係に詳しい川上高司・拓殖大学教授は「どちらが勝っても日本にとってはいばらの道」と見込む。それは、なぜか。この回ではトランプ大統領が勝利した場合を考える。

(聞き手:森 永輔)

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トランプ大統領は票のカウントをめぐり法廷闘争も辞さない考えだ(写真:AFP/アフロ)
トランプ大統領は票のカウントをめぐり法廷闘争も辞さない考えだ(写真:AFP/アフロ)

米大統領選は11月5日の午後3時現在(日本時間)、まだ勝利者が明らかになっていません。ドナルド・トランプ大統領が214人、民主党のジョー・バイデン候補が253人の代議員を獲得して以降、膠着状態が続いています。トランプ大統領が勝利した場合、その勝因はどこにあると言えそうですか。

<span class="fontBold">川上 高司(かわかみ・たかし)氏</span><br /> 拓殖大学教授<br />1955年熊本県生まれ。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。この間、ジョージタウン大学大学院留学。(写真:大槻純一)
川上 高司(かわかみ・たかし)氏
拓殖大学教授
1955年熊本県生まれ。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。この間、ジョージタウン大学大学院留学。(写真:大槻純一)

川上:大きく4つの要因が挙げられます。1つは勢いですね。トランプ大統領は選挙“戦”を戦う“軍の司令官”として非常に適切な行動を取りました。多くの支持者を集め、自ら先頭に立って彼らを鼓舞し、士気を高めたのです。その演説には強い覇気があり、聴衆は熱狂していました。

 新型コロナウイルスに感染してもわずか3日で退院し、「これはふつうの風邪と変わらない」という自らの主張を裏付けるかのようにも行動しました。

予想外に強い力持つ「隠れトランプ」

 第2の要因は「隠れトランプ」が、我々が思う以上に多いことです。Qアノンなど「米国はディープステート(影の政府)に支配されている」「オバマ前大統領がクーデターを企てている」といった極右の陰謀論を信じる人々で、トランプ大統領をこれらの陰謀と戦う英雄として支持しています。

 彼らの多くはいわゆるプアホワイト(貧しい白人)で、様々な格差に不満を抱いています。ラストベルト(かつて栄えた五大湖沿岸の工業地帯)での生活が以前と比べて貧しいものになった、大学を卒業しても就職口がない、といった不満ですね。

 第3の要因は、Z世代が少なからずトランプ大統領を支持していることです。1990年代半ばから2000年代前半に生まれた、現在18~25歳の有権者たち。こうした若い世代は民主党支持、特にバーニー・サンダース氏を支持する人が多いと思われていますが、意外なことにトランプ支持も数多くいるようです。TwitterをはじめとするSNS(交流サイト)が影響しているのかもしれません。

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