全4411文字

河野太郎防衛相(当時)がイージス・アショアの配備計画を停止して以降、その代替案をめぐる議論が進んでいる。現在はイージス艦の増設とイージス専用船の新造が俎上に上る。一連の議論の中で注目されるのが「SPY-7」レーダーだ。その選択に問題はなかったのか。海上プラットホームへの移設にかかる負荷はどれだけか。開発元である米ロッキード・マーチンの幹部、トーマス・ローデン氏に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

日本のミサイル防衛の混乱をよそに、北朝鮮はミサイルの開発を進める(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

河野太郎防衛相(当時)が6月15日にイージス・アショア*の配備計画を停止して以降、その代替案をめぐる議論が進んでいます。防衛省が9月24日、自民・公明党に対し、海上のプラットホームを利用する3つの代替案を示しました。(1)海上自衛隊の護衛艦、(2)民間の商船、(3)石油採掘のためのやぐらのような洋上リグ、です。

 10月15日には日本経済新聞が、これら3案から洋上リグが落ち、(A)イージス艦と(B)ミサイル防衛に特化した専用船の2案に絞られた、と報じています。ロッキード・マーチンはこの2案のどちらがより適切だと考えますか。

*:「イージス」は米海軍が空母艦隊の防空のために開発したシステム。「イージス・アショア」はイージスを陸上配備するもの
トーマス・ローデン氏(Thomas Rowden)
米ロッキード・マーチンのロータリー アンド ミッション システムズ(RMS)国際戦略・事業開発担当副社長。米海軍に36年勤めたのち、ロッキード・マーチンに入社。海軍では、ミサイル駆逐艦「ミリアス」の指揮。第7空母打撃群司令官、ロナルド・レーガン(空母)打撃群司令官、第11空母打撃群司令官などを歴任。統合参謀本部において統合防空・ミサイル防衛を担当

ローデン:ロッキード・マーチンは日本と日本国民を守るべく、日本政府と米国政府に対し100%コミットして取り組んできました。日本からの要請に対応できる体制を整えています。実績もあります。日本の防衛に資するべく、30年近く*にわたって、イージス戦闘システム(ACS)*の提供、統合、テスト、メンテナンスに携わってきました。

*:日本が初めて導入したイージス艦「こんごう」の就役は1993年
*:イージスの根幹を成すソフトウエア。レーダーが探知したミサイルや戦闘機の情報を基に、イージス戦闘システム(ACS)が適切な迎撃ミサイルなどを選択し、相手方のミサイルを打ち落とす

 議論の俎上(そじょう)にのっている選択肢はいずれも技術的に実現可能です。我々は、日本政府がSPY-7レーダー*を配備するのにいかなるプラットホームを選択しても、サポートする準備を整えています。

*:日本政府はイージス・アショアで使用するレーダーにロッキード・マーチンが開発する「SPY-7レーダー」を選択した

「いかなるプラットホームにも対応する」

技術とコストの面から評価して、より適切と考えられるのはイージス艦と専用船のどちらでしょう。

ローデン:我が社は、どのプラットホームを選択するかについて中立の立場にあります。日本政府がどのプラットホームを選んでも、日本国民を守るため、必要な能力を提供します。自信をもってお答えします。