新たな友好の種は……

1970年代と80年代の蜜月を支えた要因に代わる、新たな友好の種はあるでしょうか。

梶谷氏:経済面で考えると、相互補完となる何かしらの要素が必ず存在します。国際経済学で言う比較優位が存在するからです。

 また、深圳などを拠点に成長著しいスタートアップ企業と日本企業が協力するプロジェクトが拡大する可能性に期待しています。クリス・アンダーソン氏が書籍『MAKERS』で取り上げたような人々との協業。同氏は「Nature」「Science」など世界的な科学雑誌の編集者として活躍し、「WIRED」の編集長を務めた人物です。

 MAKERSは個人ベースでハードウエアのものづくりに取り組み、その延長線上で起業しようとする人々のこと。アンダーソン氏は「職人肌でありながら革新的。ハイテクながら低コスト。小さく生んで、大きく育てる。そしてなんといっても世界が望む製品、古い大量生産モデルにそぐわないためにこれまで世に出なかった、優れた製品を創ることができる」と説明しています。

 MAKERSと呼ばれる人々はオープン・イノベーションの価値を認めており、反日ナショナリズムにとらわれることなく日本企業と協業するマインドを持つ人々でもあります。中国のデバイスメーカーSEEEDの創業者エリック・パン氏はMAKERSの1人。顧客の注文に応じて電子部品を少ロットで製造するビジネスを展開しています。同氏は、世界市場を相手にビジネスすることを目指しており、この目標に負の影響を及ぼすとして共産党員にならないという選択をしています。

 ただし、MAKERSとの協業拡大には課題もあります。彼らがビジネスに成功し大きな存在になると、政府が介入しがちなことです。この点は今日のアリババを見れば明らかでしょう。

中国経済の将来を左右する不動産市場と高齢化

日中関係を改善させる要因はなかなか見当たらないですね。可能性があるとしたら、中国経済が悪化したときくらいでしょうか。日本企業による助けが必要になるかもしれません。日本企業の側に力が残っているか不安がありますが。梶谷さんは、中国経済の今後をどう展望していますか。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1070文字 / 全文5151文字

【初割】月額プランが3月末まで無料

人気コラムも、特集もすべての記事が読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「森 永輔の世界の今・日本の将来」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。