中国人観光客の減少にいらだつ台湾観光業者らがデモ(2016年)(写真:AP/アフロ)
中国人観光客の減少にいらだつ台湾観光業者らがデモ(2016年)(写真:AP/アフロ)

中国は台湾に対し、ビジネスと経済を通じた統一戦線工作を展開してきた。その典型例は、中国人の台湾観光ビジネスとメディアだ。「1つの中国」を否定する蔡英文政権が誕生すると、訪台する観光客を激減させた。中国と親しい企業に買収された台湾メディアは、その影響度を誇張する報道を繰り返した。中国は取り込みの対象を国民党からビジネスエリートに広げていった。 川上桃子・日本貿易振興機構アジア経済研究所 地域研究センター長に聞く。

(聞き手:森 永輔)

前回はこちら)

経済・ビジネスを通じた統一戦線工作の例として、中国人の台湾観光ビジネスが知られています。

川上:はい、これは馬英九政権期の台湾に対して中国が行った「恵台政策」の典型例です。中国政府は、まるで水道の栓を開け閉めするように、台湾側の政治状況に応じて中国人訪台客の数を増減させ、台湾の世論に影響を与えようとしてきました。私が編者・監訳者として出版に関わった『中国ファクターの政治社会学』(川上桃子・呉介民編、白水社)の第二章(著者:蔡宏政)をもとにご紹介しましょう。

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