ところが、馬英九の大陸接近策は台湾で不人気で、2016年に民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権が誕生します。図1を見れば分かるように、台湾人アイデンティティーを持つ人は、中台の接触が増えた馬英九政権期(2008~16年)に急増しました。しかも、2019年以降、習近平政権が、香港の一国二制度を警察力と香港国家安全維持法を使って事実上「強制終了」させたことで、台湾人アイデンティティーと民進党の支持率が上昇しただけでなく、台湾独立支持も急上昇しました(図1、2、3参照)。

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 2020年からは中国から伝わった新型コロナ禍が世界を苦しめています。この間中国は米国との対立を深めたり、台湾のみならず周辺諸国に軍事的・準軍事的圧力をかけたりして、台湾での印象を完全に悪化させてしまいました。他方台湾ではコロナ対策が成功し、民進党政権が2024年を越えて長期政権化する可能性が増大しつつあるのです。つまり、当初の「平和統一」政策はもはや絶望的なので、武力に頼るしかない、と言い出す人が現れてきました。

 問題は、第2の、中国が以前から進めていた「独立阻止」のための武力の威嚇から、「強制的平和統一」のために武力増強を図ろうとしていることです。

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