中国の金門島攻撃に、米国は空母を派遣した

(B)福建省沿岸の離島とはどこですか。

松田:(B)福建省沿岸の離島とは金門島と馬祖列島です。これらの島々への武力攻撃も中国が得るものは多くありません。これらは行政区画上福建省の一部で、住民の多くは「台湾独立」に反対で、民進党政権を嫌っています。中国が彼らを殺してどうするのでしょうか。そもそも、中国は、過去の事例から見てもいつでも取れる領土は慌てて取ったりしません。香港が良い例です。

 さらに、金門・馬祖はともに台湾軍が武装しているので、彼らが反撃に転じれば対岸にある厦門(アモイ)と福州が火の海になりかねません。中国は台湾軍の行動をコントロールできません。仮に中国が金門島を獲得しても、福州とアモイが戦火にさらされたら、中国政府は国民に「勝利」と伝えるわけにはいかないでしょう。

 ただ、金門・馬祖も「台湾」の領域には入りませんから、台湾関係法の適用地域ではなく、米国に防衛する責任はありません。とはいえ中国は、「米国は100%介入しない」と見切れません。中国が金門島に対し1958年に大規模な砲撃を加えた際に、米国は多数の空母を派遣して金門・馬祖への侵攻を座視しない姿勢を示しました。これらの島々は、当時有効だった米華相互防衛条約の適用地域ではありませんでしたが、米国は軍を派遣し台湾軍による離島防衛作戦を支援したのです。つまり、米国の介入を招く可能性は否定できません。

 (C)澎湖諸島はさらにハードルが高い。澎湖諸島は歴史的に台湾の一部ですし、台湾軍が保有するミサイルの射程範囲内にあります。台湾は全力で澎湖を守るでしょうし、一時的に取られたとしても必ず取り戻そうとするでしょう。台湾関係法に基づく米軍の介入も十分にあり得ます。つまり、澎湖諸島を攻撃することは、台湾本島を攻撃するのとほぼ同義といえます。

 最後は(D)台湾本島に限定攻撃を仕掛けるケースです。

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