日本の首相(および首相を務めた人物、以下「首相」とする)が公衆の面前で暴漢に襲われ、命を落とす――。あってはならないことが起きた。

安倍晋三元首相は7月8日、奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃され、帰らぬ人となった(6月24日に北九州市で撮影、写真:共同通信)
安倍晋三元首相は7月8日、奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃され、帰らぬ人となった(6月24日に北九州市で撮影、写真:共同通信)

 首相襲撃事件というと、1932年(昭和7年)に起きた五・一五事件や36年(昭和11年)の二・二六事件が思い浮かぶ。しかし、この2つの事件は海軍や陸軍の軍人によるクーデターで、かなり特殊な事例だ。今回とは様相が大きく異なる。五・一五事件で殺害された犬養毅首相(当時)も、二・二六事件で自身は難を逃れたものの義弟を失った岡田啓介首相(同)も首相官邸を急襲された。

 公衆の面前で一般人に襲われ大事に至った首相は、30年(昭和5年)に東京駅で襲われた浜口雄幸首相(同)に遡る。その前は、21年(大正10年)に東京駅で刺殺された原敬首相(同)だ。遡ること前者は約90年、後者は約100年の昔となる。

 ロシアによるウクライナ侵攻を目にした記者は、約80年前に舞い戻ったかのような印象を受けた。大国同士が戦争したのは30~40年代まで遡る。ウクライナで進行中の事態は、武力による戦争としてはウクライナ対ロシアだが、価値観や秩序を巡り、経済と外交を武器とする“戦争”は米国が主導する西側とロシアが戦っている。

令和の日本でこんなことが

 日本の首相が公衆の面前で襲われ命を落とす事態は、大国同士が戦争をした「昔」よりも、さらに昔のこと。そんな、歴史の教科書でしか目にすることがなかった事態が、平成を飛び越えて令和の日本で起こってしまった。

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