エネルギー政策において原発を選択肢からはずすのは得策とは言えない(写真:AFP/アフロ)
エネルギー政策において原発を選択肢からはずすのは得策とは言えない(写真:AFP/アフロ)

ロシア産エネルギー資源の禁輸が選択肢から消えない。脱化石エネルギーへのシフトが望まれるが、原発再稼働の展望は開けない。エネルギー資源価格が高騰する中、その先に見えるのは経常収支の悪化だ。これを食い止めるためには少子高齢化を止める必要があるが、そのための原資が化石資源に食われている。みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストに聞いた。

(聞き手:森 永輔)

(前編はこちら

お話を伺っていると、長期的には脱化石エネルギーが必要になると考えられます。原発再開が現実解でしょうか。

小林俊介・みずほ証券チーフエコノミスト(以下、小林):原発が本格的かつ全面的に再稼働する可能性は手続きにおいても、政治の文脈においても極めて低いと言わざるを得ません。しかし、選択肢から外すのは現実的ではないと考えます。日本は化石資源に恵まれていないですから、これに依存し続けることはバランスを欠く選択です。

脱化石エネルギーの現実解は原発か

 エネルギー源の選択は、安全性、安定性、経済合理性、そして外部経済(ある経済行為が市場取引を経由することなく第三者に影響すること)の4つの評価軸に沿って考えるべきです。

 再生可能エネルギーに人々の耳目が集まっていますが、安定性を欠きます。コストも高く、経済合理性においても他の選択肢に劣るのが現状です。安全性も高いとは言えません。治水にダメージを与えるケースが散見されます。

小林俊介(こばやし・しゅんすけ)
小林俊介(こばやし・しゅんすけ)
みずほ証券エクイティ調査部チーフエコノミスト 専門は日本経済・世界経済・金融市場分析。2007年、東京大学経済学部を卒業し、大和総研に入社。13年に米コロンビア大学および英ロンドンスクールオブエコノミクスで修士号を取得。日本経済・世界経済担当シニアエコノミストを経て、20年8月より現職(写真:加藤 康)

傾斜地に設置した太陽光パネルが原因で地滑りが起きた事故の報道がありました。

小林:問題を抱えているのは原発だけではありません。なので、東京電力福島第1原子力発電所の事故があったからといって排除するのではなく、その経験を生かして、原発の安全性を高めて利用を続けることも選択肢に残すべきです。安全性を高める手法として、技術を高めるのはもちろん、例えば自衛隊が防衛する対象として法律に明記するといったことも考えられます。

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