米国は、台湾の防衛費拡充を望んでいる(写真:ロイター/アフロ)
米国は、台湾の防衛費拡充を望んでいる(写真:ロイター/アフロ)

日米首脳会談において菅首相とバイデン大統領は「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」ことで一致した。台湾有事の可能性はどれほどか。起こるとすれば、どのような条件が満たされたときか。そのとき、日本はどのように行動すべきか。佐橋亮・東京大学准教授は「自衛隊と米軍がしっかりした行動計画を立案する」ことが必要という。そのためには「日本国民が台湾の重要性を理解」することが重要と説く。

(聞き手:森 永輔)

(前回「検証・日米首脳会談、中国に言い過ぎたことなど1つもない」はこちら)

これまで、日米首脳会談および共同声明に強く反発する中国の今後の動きについて伺ってきました。最後のテーマとして、台湾有事について伺います。その可能性を佐橋さんはどうみますか。米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官が「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と発言したことが注目されました。

佐橋亮・東京大学准教授(以下、佐橋):私は当面はないとみています。日米が今回、共同してシグナルを送ったことも抑止の向上に寄与したと評価します。

<span class="fontBold">佐橋 亮(さはし・りょう)</span><br> 東京大学東洋文化研究所准教授。専門は東アジアの国際関係、米中関係。1978年生まれ。2002年、国際基督教大学教養学部国際関係学科卒業。2009年、東京大学大学院博士課程修了。神奈川大学法学部教授・同大学アジア研究センター所長、スタンフォード大学アジア太平洋研究センター客員准教授などを歴任し、2019年から現職。日本台湾学会賞、神奈川大学学術褒賞など受賞。(写真:加藤 康、以下同)
佐橋 亮(さはし・りょう)
東京大学東洋文化研究所准教授。専門は東アジアの国際関係、米中関係。1978年生まれ。2002年、国際基督教大学教養学部国際関係学科卒業。2009年、東京大学大学院博士課程修了。神奈川大学法学部教授・同大学アジア研究センター所長、スタンフォード大学アジア太平洋研究センター客員准教授などを歴任し、2019年から現職。日本台湾学会賞、神奈川大学学術褒賞など受賞。(写真:加藤 康、以下同)

 しかし、中国は今後も台湾に圧力を加え続けるでしょう。台湾が中国から離れる方向に動いているからです。習近平(シー・ジンピン)政権は台湾統一を促進すべくさまざまな対策を講じてきましたが、蔡英文(ツァイ・インウェン)政権は容易にはなびきません。それどころか、香港での民主派弾圧がたたって、台湾で台湾アイデンティティーが高まっています。その一方で、米国が台湾との交流をかつてないレベルに深めている。

 米国の「1つの中国」政策は建前として残っているものの、実質的に骨抜きになりました。よって、習近平政権が武力による統一を目指す可能性は中長期的には高まってくると言えます。

続きを読む 2/3 台湾情勢は2024年以降に転機

この記事はシリーズ「森 永輔の世界の今・日本の将来」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。