米国の大手テック企業は、税制の混乱を回避できるか(写真:AFP/アフロ)
米国の大手テック企業は、税制の混乱を回避できるか(写真:AFP/アフロ)

米国のイエレン財務長官が4月5日、法人税において主要国が共通の最低税率を設定するよう提案。バイデン政権はさらに、国境を越えて活動する巨大多国籍企業を対象とする新たな税を打ち出した。横浜市立大学の上村雄彦教授はこの動きを「夢の税制」への第一歩と評価する。それはなぜなのか。中国は賛成するのか。

(聞き手 森 永輔)

ジョー・バイデン政権が4月に入り、法人税をめぐる国際協調に動き始めました。上村さんは一連の動きをどう評価しますか。

上村雄彦・横浜市立大学教授(以下、上村):「革命的」と呼んでも過言ではない出来事だと思います。法人税における共通の最低税率と、巨大多国籍企業に対する課税は、経済協力開発機構(OECD)の場で長く議論されてきました。しかし、米国の姿勢が障害となり滞っていました。バイデン政権の4月に入ってからの動きは、この議論を再び活性化させる触媒になります。

<span class="fontBold">上村雄彦(うえむら・たけひこ)</span><br>横浜市立大学教授<br>専門は、地球規模問題を解決し、持続可能なグローバル福祉社会を構築するために必要な政策とガバナンスの研究。大阪大学大学院法学研究科博士前期課程、カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。博士(学術、千葉大学)。カナダ国際教育局カナダ・日本関係担当官、国連食糧農業機関住民参加・環境担当官、千葉大学大学院人文社会科学研究科准教授を経て、2009年より現職。主著に『グローバル・タックスの可能性-持続可能な福祉社会のガヴァナンスをめざして』など。(写真:加藤 康、以下同)
上村雄彦(うえむら・たけひこ)
横浜市立大学教授
専門は、地球規模問題を解決し、持続可能なグローバル福祉社会を構築するために必要な政策とガバナンスの研究。大阪大学大学院法学研究科博士前期課程、カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。博士(学術、千葉大学)。カナダ国際教育局カナダ・日本関係担当官、国連食糧農業機関住民参加・環境担当官、千葉大学大学院人文社会科学研究科准教授を経て、2009年より現職。主著に『グローバル・タックスの可能性-持続可能な福祉社会のガヴァナンスをめざして』など。(写真:加藤 康、以下同)

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