ベラルーシで2020年に大統領選がありました。このとき、ルカシェンコ陣営による不正疑惑が浮上し、抗議デモなど、同大統領の退陣を求める動きが拡大。この状況を押さえ込むのに、ルカシェンコ大統領はロシアを頼りました。プーチン大統領はロシア内務省傘下に予備警察隊を設置し、ベラルーシに介入する体制を整え、ルカシェンコ大統領を支えたのです。なので、ルカシェンコ大統領がプーチン大統領との関係を絶てば、その地位は国内の動向によって再び危ういものになってしまうのです。

 あまり注目されていませんが、ロシアはベラルーシの属国化を先行して完了。この余勢を駆って軍事力でウクライナを属国化しようとしている構図だと考えられます。

 ベラルーシの国民は、ロシアによるウクライナ侵攻に怒っています。ベラルーシを基地にして、同じスラブ民族の兄弟国であるウクライナを侵略しているからです。反戦デモも勢いを得ています。ベラルーシでデモに参加し拘束されると、留置処分にとどまらず拷問を受けることがあります。それにもかかわらず街頭に出る人々が少なからずいるのです。

ウクライナを属国化し「見せかけの連邦制」導入も

ウクライナとロシアによる停戦協議の継続が決まりました。ロシアはウクライナの中立化と非軍事化を要求しています。

小泉:仮にウクライナがロシアの要求をのんだとしても、それだけで収まることはないでしょう。

 ウクライナは欧州の大国で、旧ソ連諸国の中で最も強くロシアの意向に逆らってきました。今後はそうできないよう「二流国家」に作り替えようとする可能性があります。

 そのときの姿について、2014年のウクライナ危機のときにロシアの軍事専門家が語っていた見立てが参考になります。ウクライナを4つの地域に分割し、連邦制に移行するというものでした。

 4つの地域のうち1つはクリミア半島。もう1つはドニエプル川東の「ノボロシア(新ロシア)」。第3はウクライナ中央部の「マロロシア(小ロシア)」。首都キエフはこの地域にあります。そして第4は西部の「ザカルパチア」です。

 この4つの地域からなる連邦制とするものの、それは名目上だけ。詳細は不明ですが、各地域に拒否権を持たせるなどして国としての意思決定ができない状態を作り出すような構想でした。

 この構想が的外れでない証拠に、ロシア政府は一時期、ウクライナ東部の親ロ派武装勢力を「連邦制支持者」と呼んでいました。

 仮にこのシナリオが進み、ウクライナがロシアの属国と化したなら、ベラルーシおよびウクライナとポーランドとの間に「鉄のカーテン」のようなものが再び生まれることになります。時計の針を逆回しする行為と言えます。

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