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 大雨が日本各地で猛威を振るう季節がめぐってきた。

 7月3日から降り続く豪雨によって、熊本県では日本三大急流の1つに数えられる球磨川流域が広範囲にわたって水没した。被害は九州地方だけでなく西日本から東海地方におよび、岐阜県でも飛騨川が氾濫した。

7月4日に熊本県人吉市で球磨川が氾濫した様子。流域では広範囲にわたって浸水被害が発生した(写真:共同通信)

 「令和2年7月豪雨」と名付けられたこの豪雨、観測された雨量も従来の常識をはるかに上回る。気象庁では1時間雨量で30mm~50mmの激しい雨を「バケツをひっくり返したように降る」と表現するが、九州南部では「恐怖を感ずる」レベルとなる80mm以上の猛烈な雨が降った。

 ここ数年の豪雨は、局地を短時間襲う“ゲリラ”ではなく、継続的に膨大な雨量をもたらし巨大災害を引き起こすものも目立つ。1時間に100mm以上の降水量も珍しくなく、各地で観測記録を塗り替えている。こうした豪雨が長時間振り続けることもしばしばだ。想定を超える長雨によって、広範囲にわたり浸水被害や土砂災害が発生するリスクが高まっている。

命を守る防災を考える

 背景には、地球規模の気候変動があると指摘する専門家が多い。こうした災害は一過性のものではなく、今後も続くものとして我々は備えなければならない。

 国民の生命や財産を守るためには、防災に関する発想を転換する必要がある。日経ビジネスの新連載「激甚化する水害 日本の対策と選択」では、住民、企業、専門家、自治体、政府など様々な視点から水の脅威への備え方を考えていく。

 連載では、2019年10月に川崎市の武蔵小杉駅周辺に建つタワーマンションを機能不全に陥れた台風19号のその後の対策を検証するほか、「令和2年7月豪雨」発生後、内閣府の要請を受けて熊本県人吉市に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に配慮した避難所を設営した建築家の坂茂氏に感染症対策と避難所設置を両立する方策を聞くなど、コロナ時代を踏まえた動きもリポートする。

 地震に比べれば、水害は災害発生が予想しやすいとされる。備えによっては被害を抑えることができる。日本の夏は変わった。その現実を受け止め、私たちができる防災について考えていく。

連載ラインアップ

・武蔵小杉のタワマン水害対策、官民の足並みそろわず
・建築家の坂茂氏が語るコロナ時代の避難所
・人手不足の自治体の悩み、「防災」助ける民間企業の力
・水害に備える先進技術、ドローンやセンサー生かし危機を察知
・八ツ場ダム50個分、既存ダム有効活用で生まれた貯水容量
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