米中貿易戦争が勃発してから2年。トランプ米政権が発動した対中追加関税に、中国が即座に報復関税で応じ、事態は泥沼にはまり込んだ。先制した米国でも企業業績への影響が出始めている(関連記事:米中貿易戦争で従業員の半数を解雇した社長の辛酸)。アップル、ゼネラル・モーターズ(GM)、インテルなど中国と取引する米大手企業約200社で組織する米中ビジネス評議会が加盟社を対象に2019年6月に実施した調査によると、中国の報復関税によって販売が減少した米企業は49%に上った。肉を切らせて骨を断とうとしているように見えるトランプ政権の対中強硬路線を、米産業界はどう受け止めているのか。米中ビジネス評議会のクレイグ・アレン会長に聞いた。
(聞き手は吉野 次郎)

米中が繰り広げる関税合戦にはどのような立場を取っているのでしょうか。
クレイグ・アレン米中ビジネス評議会会長(以下、アレン氏):もちろん米中両政府には追加関税を撤廃してほしいです。ただ米政府が中国に貿易戦争を仕掛けたのには理由があります。中国政府は国有企業の優遇や産業補助金制度をはじめとして、市場の公平性を損なうような政策を取っています。改善されるまで米政府は追加関税を撤廃すべきではありません。

それでも米企業への一定程度のダメージは甘受しなければなりません。どの業種が最も影響を受けていますか?
アレン氏:中国と取引している米製造業の中でも、特にハイテク分野です。具体的には半導体や通信、航空、ロボット、一部のソフトウエアなどです。加えて米政府は半導体や通信分野で追加関税とは別に、中国企業との取引を制限する措置を取っており、より大きな影響が出ています。
逆に影響の小さい業種は何でしょう。
アレン氏:そのほか多くの製造業は実はあまり貿易戦争への懸念がありません。中国で生産して、中国国内やほかのアジア諸国向けに出荷しているためです。こうした企業の業績は好調を維持しています。また中国事業を展開している米国の食品、エネルギー、サービス産業なども貿易戦争の影響が比較的少ない業種です。
関税合戦の影響が小さくても、米中対立が先鋭化すれば中国当局が米企業に対する許認可を恣意的に遅らせるなどの嫌がらせに及ぶ恐れはありませんか(編集部注:米中ビジネス評議会の調査では47%の米企業が許認可で中国企業より不利な扱いを受けていると回答した)。
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