
6月末、上海市内の展示場で中国最大の半導体製造装置の展示会「セミコン・チャイナ」が開催された。「前後の展示会は開催できなかったのに、半導体だと大丈夫なんですね」。半導体装置メーカーの担当者はこう言って苦笑した。
セミコン・チャイナは新型コロナウイルスの影響で開催が3カ月延期されたものの、「特別扱い」で開催にこぎつけた。とはいえ万一、感染者が出れば大問題になる。「展示会が終わったら、念のため参加者は2週間、自主隔離してもらう」という企業もあった。

コロナ禍の影響もあり、出展社数は昨年の1200から900に減った。だが、現場を歩くと、それ以上の変化が浮き彫りになってきた。
米国企業の存在感の薄さだ。セミコン・チャイナの大手スポンサーとして名を連ねているにもかかわらず、絶好の宣伝の場である基調講演などにその姿はない。半導体製造装置で世界大手の米アプライドマテリアルズのブースは最低限の大きさで、少なくとも記者が訪問した際には担当者の姿はなかった。その様子が逆に興味をひいたのか、のぞき込みながらカメラで撮影していく人もいたほどだ。

米政府は中国向けの半導体製造装置の輸出について圧力を強めており、実際に過去数年で何度も中国の国策半導体会社への装置納入が停止に追い込まれたケースがあった。米中対立は激化の一途をたどっており、米企業にとって今、中国市場で目立つことにメリットはない。
一方、日本勢にとってはやや状況が異なる。
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